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zoom RSS 『ブラインドネス』・・・全世界失明の先にあるもの

<<   作成日時 : 2008/11/23 23:57   >>

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深く、そして重い作品だった。当たり前だと思っている人間社会のモラルや秩序が、目が見えなくなることであっけなく崩壊していく様が怖い。

発端は交差点で信号待ちをしていた日本人男性(伊勢谷友介)。何の前触れもなく視界が真っ白になって視力を失う彼。続いて彼と接触する眼科医(マーク・ラファロ)や眼科の待合室に居合わせた他の患者、そして妻(木村佳乃)までもが失明する。急速に増加する失明患者。強い感染力が明らかとなり政府は患者の隔離措置を決めるが、閉ざされた収容施設では秩序が失われ暴力が蔓延し始める・・・。

目が見えなくなった人たちが、医療や介護スタッフのいない閉ざされた空間に集団で“放置”されたらどうなるか。当初は部屋単位でリーダーを決めるなど前向きな動きがあるものの、配給食料をめぐっての争いはやがて暴力を振りかざす独裁者を生み出す。私たちが絶対と思っている民主主義の脆さ。話し合いを呼びかける者たちも、銃を持つ狂気の男(ガエル・ガルシア・ベルナル)の前に屈するしかなくなってしまう。生きようとする本能があるがゆえに屈辱に耐えなければならない状況がなんとも痛ましかった。

一方で目が見えないことによって自動的にもたらされるのが“平等”。終盤、施設を脱出したひとつのグループが強い結束を見せるが、グループ内には複数の人種が存在している。しかし目が見えない状態で差別は存在し得ないのだ。アイパッチの黒人(ダニー・グローヴァー)の「今が幸せだ」というセリフがそれを印象付けていた。

ただ一人“目が見える”女性、眼科医の妻を演じるジュリアン・ムーアの好演は言うまでもないが、個人的には伊勢谷友介と木村佳乃を高く評価したい。対外的な英語と二人で交わす日本語とを使い分ける夫婦をうまく演じていて、主要キャラとして他の俳優陣に一歩も引けを取らない堂々たる存在感が素晴らしかった。

オチはベタだが、見えなかった人たちの心に灯リ始めたかすかな希望と、それまで見えていた眼科医の妻が覚悟する彼女の今後とをナレーションでさらっと対比させるまとめ方は悪くない。

とにかく観終わった後でいろいろと考えてしまうことの多い作品である。万人向けとは言い難いし私自身決して好きなタイプの映画ではないのだが、それでも機会があればぜひ見てほしいと思える不思議な後味の1本だった。

☆『ブラインドネス』公式サイトはこちらから
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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
TBをありがとうございました。
寓意に満ちた力作でしたね。
ジュリアン・ムーアはもちろんのこと、
伊勢谷友介と木村佳乃の好演もすばらしかったです。

>不思議な後味の1本

同感です。希望の見えるラストをさらりと描いている点は、ふしぎな余韻を感じさせます。
masktopia
URL
2008/11/24 02:01
masktopiaさん、こちらこそいつもお世話になっております。
はい、まさに力作です。監督や製作スタッフが込めたかったことがとにかく多い映画でした。
一見ありがちな世界崩壊物のようで、描いている本質はその手の他作品とは別物なんですよね。鑑賞中それに気付いてからはどんどん引き込まれました。
賛否真っ二つのラストですが、私あれでよかったと思ってます。
SOAR
2008/11/24 17:52
こんばんわ!
こちらこそいつもTBお世話になってます〜^^
そうそう、見えないってことは人種差別はまずないんですよね!
私予告から謎解きエンタメ系かと思ってたら全然違ってて面食らいました。
これはこれでパニックモノとは違うって感じで
よかったですネ^^
ただ「失明だけはしたくないカモ・・」と思っちゃいました〜ぷぷ
かいこ
URL
2008/11/27 23:21
こんにちは♪
いつもありがとうございます!
極限状態における人間を描いたドラマでしたね。
予想とは違う流れでしたが、私は面白く見ることが出来ました。
見終わった後、なんだか目にもやがかかったように感じられてギョッとしました(笑)
希望の感じられるラストに救われました。
ミチ
URL
2008/11/27 23:29
かいこさん、こんにちは♪
脱出後仲間からはぐれてしまう若い黒人がいましたけど、彼が収容施設内での何気ない会話の中で自分が黒人であることを言いにくくなってしまうシーンが印象的でした。
はい、私も医療や科学的要素の効いたパニックサスペンス物だと思っていたので同じく面食らったクチです(^^ゞ
もちろんこれはこれで見応えあったのでよかったです〜。
SOAR
2008/11/29 12:37
ミチさん、こんにちは♪
閉鎖空間での人間ドラマ、なかなかおもしろかったですよね。思想ごとに異なる集団に分裂し、主義主張の違いから争いが起こるという流れは、実際の国家関係の縮図そのもので興味深かったです。
極限状態におかれた人間が本能に従うとこうなっちゃうんですねぇ。
ナレーションで終わるあっけないラストに『宇宙戦争』を思い浮かべたのですが、いかがでしょう?
SOAR
2008/11/29 12:37
TBありがとうございました。
やっと当地に来たもんで、遅れて鑑賞ですが、結構期待もしたし、いろいろと自分の中でも作り上げてて、ちょっと期待していた方向と違ってたかなと言う感じでした。
当時、いい仲だったお二人は、よかったですねぇ。
伊勢谷君がいつまでも綺麗だったのは、変やろ!と思ってしまいましたが、まったく引けを取らない演技は那珂仲だったと思います。
sakurai
URL
2009/01/10 22:58
sakuraiさん、こんばんは♪
期待した内容とは違いましたけど、期待外れっていうわけでもなかったです。ただ、こういう話と最初に知ってたらたぶん観なかったかなあと(^^ゞ
伊勢谷・木村の二人の存在感はうれしいですね。それにしても夫婦役・・・。今となっては・・・ねぇ(苦笑)
SOAR
2009/01/11 22:31

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