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zoom RSS 『ラブリーボーン』・・・スージーがやり残したこと

<<   作成日時 : 2010/01/29 23:23   >>

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独特の雰囲気を持つ秀作。サスペンスとしての手に汗握る緊張感もいいし、なにより鑑賞後に残る余韻があまり味わったことのない類のもので、なんとも心地よい感動を味わえた。

物語は14歳で猟奇殺人の犠牲となった少女スージー(シアーシャ・ローナン)の語りで展開していく。家族や初恋の男の子への想いから天国への一歩が踏み出せないでいる彼女が、天国と現世の狭間から語りかけてくるのだ。

彼女が殺害される直接的な描写はない。犯人から逃げようとするシーンと逃げ出したシーンとが連続するが、逃げ出して走るシーンは既に死後なのである。人に見えないものが見えるという同級生の女の子とすれ違わせることでそれに気付かせるあたりは面白いと思った。
(ここで示される女の子とスージーとの接触は、終盤への伏線にもなる)

スージーがさまよい歩く世界は時にファンタスティックであり、また時には殺伐とした風景が広がっている。共通するのは現世との奇妙なリンクである。父ジャック(マーク・ウォールバーグ)や妹リンジー(ローズ・マックィーバ)を別世界から見つめるスージーが切ない。このリンクは時間もさかのぼり、連続殺人鬼である犯人の魔手に掛かった過去の女性たちの痛ましい姿もスージーは見ることになる。
終盤、この女性たち(子供もいれば大人もいる)が天国への入り口となる木の下に笑顔で集まってくるシーンがあるのだが、私はここが泣けてしょうがなかった。現世への思いから解放されてやっと天国へ旅立てる彼女たち。

しかしここでスージーは立ち止まる。

「私にはひとつだけやり残したことがある」

その頃現世では妹のリンジーが必死の思いで犯人逮捕につながるある物を手に入れるのだが、犯人は先手を打ってスージーの遺体を隠していた金庫を処分すべく家の地下室から運び出してしまう・・・。

冒頭からスージーの口調は終始穏やかで犯人に対する憎しみや深い悲しみはあまり感じられないのだが、エンディング間近になり彼女が現世に残していた本当の思いが明かされるに至って納得。彼女の少女らしいささやかな未練に心を打たれた。家族や警察に真犯人を知らせようという思いよりもこちらのほうが14歳の少女には大きかったのだろう。彼女が死後の世界で再出発を切るために取った行動がいじらしくてまた涙・・・だった。

要するにこの作品は成仏できないゴーストが犯人の正体を現世になんとか伝えようとする物語ではないところがミソであり、これを受け入れられるかどうかで評価が割れる作品となりそうである。
すっきりしない部分も正直残った。リンジーの命がけの侵入とその成果も犯人特定につながらなかったのは残念だし、あの金庫のラストも何とかならなかったのかなと思う。

それでも作品全体の丁寧な作りには満足できた。現世、天国、その中間の世界、それらの幻想的なつながりは映像も設定も斬新だし、サーモン家の人たちの刻々と変化する微妙な心理表現も見事だ。スージーが撮り貯めた110フィルムのカートリッジ、真っ赤なツバキ科の花、おもちゃのスノードーム、そしてろうそくを灯したボトルシップなど小物のひとつひとつが持つ意味もそれぞれに深い。

親子や家族の絆を死を通して描く作品が数多ある中、本作はいつまでも記憶に残りそうだ。温かくて切なくて不思議な魅力にあふれた作品。観て損はないですヨ。

・・・余談・・・
事前にチケットを買っていたシネコンが突然の上映中止でアセった〜。幸い近くの別シネコンでほぼ同じ時間帯に観ることができて一安心。その後払い戻しに出向いたところ丁重なお詫びとともに返金だけでなく無料鑑賞券まで頂いた。購入時の付加ポイントはそのまま有効とのことで、ちゃっかり別シネコンでのポイントも付いたわけだしこれはいろいろ得しちゃったな♪
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コメント(22件)

内 容 ニックネーム/日時
どうもです。
上映中止っていうのはタダゴトじゃないですね(汗) でも無料券出したんだから立派です。
初日初回の『THIS IS IT』の上映で、映写機トラブルで10分間中断(→ しかもビリージーンのとこっす 涙)したにも関わらず、何の手当てもしない県内某シネコンとは違うにゃ。。。 

物語の展開は、確かに評価が分かれそうですね。
こういうのが好きか嫌いか、っていうのは大いにあります。
この辺りは本当に個人の趣味!? 
本作は非常に映像が美しかったですし、後から考えるとあれもよかった、これもよかったと、私にしては珍しく(笑)加点ポイントが出てくる作品でした。
rose_chocolat
URL
2010/01/30 07:29
こんにちは、コメTBありがとうです☆

途中までかなり高評価にするつもりで観てたんですが
後半であれれってちょっとなりました、

>リンジーの命がけの侵入とその成果も犯人特定につながらなかったのは残念だし、あの金庫のラストも何とかならなかったのかなと思う。

妹はあの時、家にすぐ戻れてフツウだったらすぐにあれを見せますよね。父親があんな風になっちゃった汚名もはらせるし。
それより母親戻った方が重要だったのかぼーっとしてるのがなんか違和感でしたけど、、、、
でも楽しめたのでOKです 笑
mig
URL
2010/01/30 10:03
こんばんは。

個人的にはスージーがもっと現世に働きかける展開になるのだと思っていましたが、
結局、狭間からほとんど見ているだけでしたね。
しかし、それが家族の“再生”へと繋がっているように思えました。

そうそう、私も一度上映中止になったことがあります。
その時は地震の影響でした。
無料鑑賞券2枚も貰えました。
BROOK
URL
2010/01/30 19:36
rose_chocolatさん、こんばんは♪
県内某、どこだ?(笑)
今回上映中止になったシネコンは、『おっぱいバレー』で数十秒のブラックアウト(音声はあり)があった時に出口でマネージャーさんとスタッフ1名が客の一人一人に頭を下げながら無料券出したところです。
県内では他に音声トラブルで無料ドリンク券をもらったこともありますが、一方でX PAND採用の某では3Dの微妙な上映トラブルに気付いて報告してやったのに「何がお望みですか?どうすれば納得されますか?」とクレーマー扱いされたことも(泣)
たぶんローチョコさん(勝手に呼んでます〜)の某はココでしょうな。

同じファンタジー要素を持つ「かいじゅう〜」の評価が高い人ほど本作がダメだったみたいで、みなさんのそんな傾向を読み解くのも面白いです(笑)
SOAR
2010/01/30 19:44
migさん、こんばんは♪
同じ同じ。せっかくの高評価気分が終盤で少し下がっちゃいましたよ〜。
妹のあのシーン、フツウなら「ママ帰ってきたの!ならちょうどよかった!」ってな感じでブツを見せるよねぇ。かといって母の帰宅がうれしくて我を忘れちゃったというわけでもありませんでしたよね。

でも、雰囲気は大好きです。スージーの選択もむしろほほえましく思えました。
SOAR
2010/01/30 19:44
BROOKさん、こんばんは♪
例えばデミを積極的に助けるパトリックのような物語を期待すると、がっかりかもしれませんよね。あちらはラブ要素メインだったからよかったんだと思います。
家族の絆と再生をテーマとする本作では、やはりスージーのポジションはあれでよかったんじゃないかなあ。
SOAR
2010/01/30 20:11
こんばんは。お邪魔が遅くなりました。

横レスで申し訳ないのですけど、
妹の決死の潜入とその成果を持ち帰った時の、あの微妙なシーンなのですが、
わたしは、母が疲れ果てて出て行き、父が負傷してまで食い下がっている原因が姉の失踪なのだから、それを裏付ける証拠をここで差し出したら、両親の和解がまた拗れるか…それは見たくない…と咄嗟に判断し、せっかくのブツを一瞬引っ込めたのだと思ったのです。
姉を思いながらも両親の不和に心痛めていたでしょうから。
なので、それらを全部承知しても尚、超然としているおばあちゃんなら大丈夫、と見せたのだな…と。
それらも含めて、観る人や立場、何をどう観るかによって、
様々な解釈ができる、たくさんの要素を抱えた作品だったと思います。
悠雅
URL
2010/01/30 22:03
こんにちは。
私は犯人に対する結末が「甘すぎる」という怒りばかり先行してしまって、全体を堪能する余裕がありませんでした(^^ゞ
でも、悲惨ではあるけれど、家族の絆を感じられる温かい映画だったと思います。
映像美も素敵で、きっとこの映画はずっと記憶に残る作品になると思います。
はぎお
URL
2010/01/31 00:02
あのスノードームについて父親が言っていたセリフがこの映画のミソだったかも知れませんね。
淋しいのではなく、その世界では幸せなんだということが。
にゃむばなな
URL
2010/01/31 17:10
悠雅さん、こんにちは♪
おお、それならつじつまが合います!
リンジーがとっさに背中に隠したときの複雑な表情は、戦果としてみんなに見せたいけどここで見せたら・・・という顔ですね、たしかに。
その後そっとおばあちゃんに差し出すのも納得です。家に来てからのおばあちゃんの態度は明るいというか動じてないというか、辛い感情を完全に制御できてましたからね。リンジーはかなり頭のいい子ですから、短時間で彼女なりに考えての行動だったんでしょう。
・・・あーそうか、だからおばあちゃんのあのキャラは作品的に必要なんだ!

いや〜悠雅さん、ありがとうです!
モヤモヤがひとつクリアになりました!
SOAR
2010/01/31 17:18
はぎおさん、こんにちは♪
リンジーが見つけた物はあくまで状況証拠ですから、逮捕の決め手とはならなかったんでしょうね。ただ捜査の糸口としてはかなり重要な証拠になったはず。警察の無能さが残念です。

作品ではスージーが心残りの想いを遂げて、すべてから解放されたということなんでしょうね。だから自分の遺体のことやのうのうと暮らす犯人とかは、もう彼女にはどうでもいいことだったのかもしれません。
スージーの昇華と残された家族の再生という一応の解決があって、でもその裏では犯人にもけっきょく天罰が下る。まあ、そういうまとめ方もありではないでしょうかね。
SOAR
2010/01/31 17:19
にゃむばななさん、こんばんは♪
たしかに冒頭のスノードームの会話は、物語の行く末を暗示するような内容でしたよね。
そういえばスージーの世界にも、あのペンギンがモチーフのような物体がそびえてましたっけ。
SOAR
2010/01/31 17:22
コメント&TBありがとうございました。

小物の活かし方は巧かったですね。ただ個人的にはやはり脇の人物がもう少しストーリーに食い込んできてほしかったです。
dai
2010/01/31 18:54
あ〜のぉ〜。。。
>ローチョコさん(勝手に呼んでます〜)
ぶっ!!
ローチョコさんってーのは初めて呼ばれましたw
おもちゃのブロックのような。
blog友に関西人がいるんですが、その人たちは「薔薇チョコさん」とか「チョコさん」とか呼んでるけど〜
ちなみに私のHNを1回で完璧に読んだ人、今まで1人しかいません(笑) 
みなさんがいつも呼ぶ呼び方も実は違うんですが(笑)、面倒なんで直してないw

>クレーマー扱いされたことも(泣)
その系列で、いちばん長ったらしい名前のところです(よく考えたら県内じゃないぞ)
あの系列はお客に頭下げないね。。。 とりあえず仕方がない時は行きますけど。
SOARさん券いただいた所、わかりました。 今結構必死なとこですよね。 きっとどっかですれ違ってるかもですね(笑

>同じファンタジー要素を持つ「かいじゅう〜」の評価が高い人ほど本作がダメだったみたい
自分は同じ評価。タイプが違うファンタジー、ちゃんと楽しかったですよ。
rose_chocolat
URL
2010/01/31 18:57
daiさん、こんばんは♪
あくまで現世は現世、スージーはスージーというけっして触れ合えない切なさを表現したのだと思いますが、たしかに現世の人たちの食い込みはいまひとつでしたね。
SOAR
2010/02/01 00:57
(あえて)ローチョコさん、こんばんは♪
勝手な省略呼びすいませんっ!
へぇ〜。ってことは英語読みじゃないですね〜。ロゼショコラさんとか。

系列で一番長い名前でよく考えたら県内じゃないトコ・・・「ひらがな漢字カタカナ〜」のトコですよね。やっぱこの系列は頭下げないんですねぇ。

で、上映中止のシネコンのほう、中止の理由はたぶん今やってるキャンペーンが絡んでますね。このキャンペーンやってるのは系列でも全国で2館のみで、その2館とも同日同文で中止告知してますから。料金設定に配給元が待ったを掛けたのかもしれません。
SOAR
2010/02/01 00:58
14歳の彼女がやりのこしたこと・・がコレなのは
まぁありかな♪と思いましたけど。
やっぱちょっと違うことを期待しちゃいました(笑)
恨みや復讐といった感情はスージにも家族にも
幸せを遠ざけることなんでしょうが・・。
犯人のこの罰はやっぱ生ぬるい!と怒りたい〜!



くろねこ
URL
2010/02/02 01:50
くろねこさん、こんばんは♪
犯人のきちんとした裁きがないままなのがどうも・・・という意見感想がとても多い作品になりましたねぇ。
殺人事件でヒロインが亡くなる話ですからそこに落としたくなるのももっともですよね。
でも私、少数派かもしれませんがこのラストで絶対よかったと思います。念願かなってキスをしたときの彼女の表情がとてもいいじゃないですか。さまよい続けていたスージーの魂がまさに救われる瞬間ですよね。
それに比べて犯人の最期のなんと間抜けでちっぽけなことか(笑)
法の裁きを受けての死刑なり終身刑よりはるかに惨めに思えました。彼の最期はあれでいいのかもしれませんよ〜。
SOAR
2010/02/02 22:41
TBさせて戴きました
いつもながら細かい着眼点にも丁寧な解説!
そうですよね 手が触れたその時にスージーとあの少女の間に〈ご縁〉が出来たのだと思います
金庫のことや妹の決死の犯人探しが即犯人逮捕に繋がらなかったこと…アレ?って一瞬思いましたが
本作はスージーの〈恨み節〉ではないところに主題があるのではない…と解釈すれば現実はあんなものだと思います
後味が良いのが私もこの作品の持つ香りなのだと思います
Maria
2010/02/08 11:18
Mariaさん、こんばんは♪
あの特殊能力の女の子とスージーとがリンクすることで犯人が捕まるんだろうな〜という鑑賞中の予想も見事に裏切られたわけですが、ここまでくれば作り手があえて恨み節にしなかったことは明白ですよね。
それを受け入れられるかどうかが評価の分かれ目だと思います。
後味のよさが作品の持つ香り・・・ウマイこと言いますねぇ。なるほど、確かにそのとおりです!
SOAR
2010/02/09 19:43
うーん、映画に何を望むかなんですが、ある程度の高揚感と、カタルシス。
これは予告の見せ方とか、宣伝の仕方で、見るほうに変な期待と、自分なりの展開を無駄に持たせてしまったのが、あたし的には、うーんとなってしまった感じです。
監督の挑戦もわかるし、役者も素晴らしかったんですが、ちょっと違ってたな・・というのが、率直な感想でした。
あと、あのエンドの長すぎが、そのせっかくの余韻を壊してしまったように感じてしまいました。
前に見た、「奇蹟の輝き」という映画と、天国とのはざまあたりの描写がとっても似てたんですよ。
マイナーな映画でしたが、あれを彷彿させました。
sakurai
URL
2010/02/15 10:30
sakuraiさん、こんばんは♪
予告や宣伝から何をどう期待するか、これ次第で感想がガラッと変わってしまうことがありますよね。
劇場版クレしんの特報や予告編では本編とかけ離れた映像をしれっと紛れ込ませるのが定番で、あれはあれで楽しいのですが。

エンドロールをじっくり見ながら最後の情報収集をするのが常なんですが、これはさすがに飽きました。
私を飽きさせるエンドロール、たいしたものです(笑)
SOAR
2010/02/16 23:13

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『ラブリーボーン』・・・スージーがやり残したこと SOARのパストラーレ♪/BIGLOBEウェブリブログ
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