SOARのパストラーレ♪

アクセスカウンタ

zoom RSS 『カラフル』・・・“生きてる?”from P

<<   作成日時 : 2010/08/21 21:58   >>

トラックバック 32 / コメント 10

待望の原恵一監督最新作!
なんだかんだ言ってこの夏私が一番楽しみにしていたのが本作『カラフル』である。温かさに優しさ、そして時には残酷さをも容赦なく描きあげる原テイストは今回も如何なく発揮されていた。
あ〜やっぱり原監督の世界はいいなあ。今のところ私にとって最も相性のよいアニメ監督はやはり原恵一監督のようだ。
(ちなみに森絵都の原作は半年ほど前に読了)

大きな罪を犯して死んだ罪な魂は輪廻のサイクルから外される。しかし時に天はそんな哀れな魂に対し生まれ変わるためのチャンスを与えることがある。前世の記憶を消したうえで・・。

これが本作の基本設定であり、このチャンスを与えられたのが主人公の“ぼく”というわけだ。“ぼく”は下界に戻って自分の犯した罪を思い出すことを課せられる。自殺した中学生“小林真”の体に入り込み、真として生きながら。
予告編からはコミカルなファンタジーを連想させられるが、本作はそういう物語ではない。ひとつの魂と、一人の少年と、その家族たちの再生の物語なのである。

ファンタジーな設定を通して描かれるのは自殺、いじめ、不倫、援助交際と、救いのない現実だ。その中で“ぼく”は少しずつ変わっていく。どうせ他人の体と投げやりだった彼が、そうした現実と向き合いながら本来の自分を取り戻していく過程を原監督は実にきめ細かく描き出した。
友人早乙女と旧玉電沿線を辿るエピソードは原作にはないのだが、このおかげで早乙女との友情の深まりがよりはっきりとした。ラストで早乙女と自転車で駆けるシーンを加えた監督の計算がここにある。また、このラストシーンで真が着るライトブルーのダウンジャケットもやはり原作にはなく、ラストで彼にこれを着させることで母親との確執が解消したことを表現するという、これまた原監督のセンス。こういうところが監督は巧いのだ。

やがて“ぼく”が自分の犯した罪を確信する時が来る。
この時重要な役割を果たすのがクラスメートで同じ美術部員の唱子。彼女の視点は実は序盤から重要であり、生き返って登校してきた真の変化に鋭く気付いたのも彼女なら、最後にその本質を見抜いたのも彼女。
天使(?)のプラプラから屋上に呼び出された真(というか“ぼく”というか)が、その直前に美術室で彼女と交わす会話がまさに本作のポイントである。

「小林くん、すごく変わったと思ったけど、ちっとも変わってなかった」

オチにつながるのでこれ以上は止めておくが、原作での森絵都の文章を借りるなら、“この子が小林真を救った”のだ。

ラストの早乙女とのシーンで真のケータイが着信する一通のメール。
これにより作品の持つ重さや痛みがいっぺんに吹き飛んでしまう。これもまた原監督の得意とするパターンである。
最後の最後に見せるとっておきの爽やかさ。そのすがすがしい後味が、ブルーハーツの名曲「青空」をカバーした心に染みるメロディの中、余韻となっていつまでも残った。

冒頭の大きなキンモクセイに咲く花の鮮やかなオレンジ色とともに・・・。

☆原恵一監督作品過去記事
 『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』・・・泣けます!傑作です! 05/09/25
 『河童のクゥと夏休み』・・・原監督待ちくたびれましたよっ! 07/08/05
goo 映画
goo 映画

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(32件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
『カラフル』 行き先はどこでもいいのか?
 【ネタバレ注意】 ...続きを見る
映画のブログ
2010/08/21 22:14
カラフル
日曜日はポケモンスタンプラリーをやって、夜は川崎にサッカーを観に行っていたが、実はその間に試写会もあったという忙しい日だった(^_^;)。 ...続きを見る
欧風
2010/08/21 22:58
『カラフル』(2010)/日本
監督:原恵一原作:森絵都脚本:丸尾みほ試写会場 : よみうりホール公式サイトはこちら。<Story>「おめでとうございます、抽選にあたりました!」突然現れた天使により“... ...続きを見る
NiceOne!!
2010/08/22 03:08
カラフル
直木賞作家・森絵都のベストセラー小説のアニメ化。罪を犯した魂が抽選に当たり、自殺した少年の体を借りて現世にホームステイするというファンタジードラマ。監督は『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』の原恵一。声の出演は宮崎あおい、麻生久美子、高橋克実、南明奈といった人気俳優が揃う。思春期の少年の正直な想いが綴られている。 ...続きを見る
LOVE Cinemas 調布
2010/08/22 03:29
劇場鑑賞「カラフル」
「Colorfulカラフル」を鑑賞してきました森絵都の名作児童文学を「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」「河童のクゥと夏休み」の原恵一監督でアニメ映画化した... ...続きを見る
日々“是”精進!
2010/08/22 05:29
カラフル
天上界と下界の狭間で、死んだ<ぼく>の魂は漂っていた。 するとプラプラという天使(?)が、「おめでとうございます。 あなたは大きな過ちを犯して死んだ罪な魂ですが、もう一度下界に戻って再挑戦するチャンスが与えられました。」と告げる。 <ぼく>の魂は自殺したばかりの「小林 真」という名の中学生の体に入りこみ、生き返ることになったのだが…。 青春ファンタジーアニメ。 ...続きを見る
象のロケット
2010/08/22 18:07
アニメ映画 『カラフル』 感想
「カラフル」な色には、飛びつきたくなるほどきれいな色もあれば、 見つめるのをためらうような汚い色もある。 人の内面はカラフルだというならば、 僕も確かにそうで、自分がどの色か分からなくて迷う時がある。 自分の中の汚い色を見過ごしてしまいたい時がある。 映画「カ ...続きを見る
Crab talot
2010/08/22 22:15
原恵一・監督 『カラフル』
※注・内容、各重要なシーンに触れています。鑑賞後に御覧ください。「おめでとうございます。クジにあたりました」森絵都の同名小説を『クレヨンしんちゃん アッパレ!戦国大合戦』『河童のクゥと夏休み』の原恵一 ...続きを見る
映画雑記・COLOR of CINEMA
2010/08/23 09:49
■映画『カラフル』
『クレヨンしんちゃん アッパレ!戦国大合戦』、『河童のクゥと夏休み』で知られる原恵一監督の最新作『カラフル』は、現代を生きる中学生たちへの応援歌。 ...続きを見る
Viva La Vida! <ライターC...
2010/08/23 22:54
カラフル
森絵都の名作児童文学を『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ 帝国の逆襲』『河童のクゥと夏休み』の原恵一監督でアニメ映画化した感動 ファンタジー・ドラマ。死んだはずの主人公が天使から再挑戦のチャンスを もらい、自殺した少年の体を借りてその家族や周… ...続きを見る
だらだら無気力ブログ
2010/08/24 01:48
カラフル
直木賞作家の森絵都のベストセラー小説を、「クレヨンしんちゃん」シリーズや「河童のクゥと夏休み」などで知られる原惠一監督がアニメ映画&... ...続きを見る
単館系
2010/08/24 22:10
カラフル
十人十色の輝き。   ...続きを見る
Akira's VOICE
2010/08/27 15:18
カラフル
ぼくがぼくであるために。 ...続きを見る
悠雅的生活
2010/08/27 18:25
カラフル
<<ストーリー>>突然現れて当選を告げる天使の計らいで、死んだはずの“ぼく”の魂は、自殺してしまった少年・真の体に“ホームステイ”... ...続きを見る
ゴリラも寄り道
2010/08/28 00:58
「カラフル」生きているという色
ぼくは死んだ、けれども冥府行きの改札場所で突然「修行」を言い渡される。自殺で死んだ男の子の魂と入れ替わって暮らしてみろ、と。そうやって、ぼくは気乗りがしないまま中学三年... ...続きを見る
再出発日記
2010/08/29 09:42
「カラフル」 人の心は黒いも白いも全部含めてカラフル
森絵都さんの原作は以前に読んでいました。 非常に印象に残った小説でしたが、こちら ...続きを見る
はらやんの映画徒然草
2010/08/29 21:29
「カラフル」 玉電
☆☆☆ その昔、渋谷から二子玉川までのんびり走っていた路面電車の玉電。その姿は素朴でありながら優美さも兼ね備え、あわてず騒がず、わが道を行くその走りはいまでは伝説にさえなっています。その玉電が2010 ...続きを見る
アタマにシャンプー、ココロにシネマ。
2010/08/29 23:08
僕が僕であるために〜『カラフル』
 黄泉の国への入り口で「プラプラ」と名乗る少年に呼び止められた「僕」。抽選 により、輪廻のサイクルへの再挑戦が認められたのだという&... ...続きを見る
真紅のthinkingdays
2010/09/01 09:08
『Colorful』
あなたの色はあなたが決めればいいこと。ただ自分の色を具体的に特定できる人なんてこの世には誰一人としていないけれど。 直木賞作家・森絵都先生の小説をあの原恵一監督が映画化したこの作品。尾崎豊の時代もアンジェラ・アキの時代も思春期を過ごす子供たちの気持ちは何.... ...続きを見る
めでぃあみっくす
2010/09/02 18:11
「カラフル」感想
 直木賞作家・森絵都原作小説を、「河童のクゥと夏休み」の原恵一監督、サンライズ制作でアニメ映画化。 「地獄は一定」 本作を鑑賞中、歎異抄の中にある有名な一節が、小生の脳... ...続きを見る
狂人ブログ 〜旅立ち〜
2010/09/03 21:57
カラフル
無難な仕上がりになったという感・・・かな。 ...続きを見る
迷宮映画館
2010/09/05 22:29
★「カラフル」
今週の平日休みは日本のアニメ。 アッキーナも声の出演してる・・・っていうので、ちょっと注目してたから。 ...続きを見る
★☆ひらりん的映画ブログ☆★
2010/09/07 02:01
「カラフル」原作と映画
「カラフル」森絵都 文春文庫映画を見て面白かったので読んでみた。原作を読んで改めて感じたのは、映画は原作のいいところをうまいこと掬い取り、新たになるほどというエピソード... ...続きを見る
再出発日記
2010/09/08 08:21
『カラフル』 アニメにこだわりながら写実的な表現を徹底させた、ひと味もふた味も違うアニメ映画
『カラフル Colorful』 ...続きを見る
ketchup 36oz. on the...
2010/09/08 14:57
『カラフル』'10・日
あらすじ突然現れて当選を告げる天使の計らいで死んだはずの“ぼく”の魂は、自殺してしまった少年真の体に“ホームステイ”をすることに・・・。感想KAT-TUNの田中聖主演で、ひっそ... ...続きを見る
虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映...
2010/09/23 22:18
カラフル
カラフル 329本目 2010-33 上映時間 2時間7分 監督 原恵一 出演(声) 冨澤風斗(小林真) 、  宮崎あおい(佐野唱子)       南明奈(桑原ひろか) 、  まいける(プラプラ)       入江甚儀(早乙女) 、 藤原啓治(沢田先生)        麻生久... ...続きを見る
メルブロ
2010/10/02 22:54
「カラフル」Colorful (2010 サンライズ)
鶴岡まちなかキネマで鑑賞。  仕事は忙しいし体調最悪。でも、ここで観とかないとま ...続きを見る
事務職員へのこの1冊
2010/11/23 10:43
カラフル
10年/日本/127分/ファンタジー・ドラマ/劇場公開 監督:原恵一 エンディングテーマ:miwa『青空』 ...続きを見る
銀幕大帝α
2011/04/22 01:47
カラフル
ただ、君を愛してる ...続きを見る
Memoirs_of_dai
2011/05/05 15:42
カラフル(原恵一監督)
『嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 』、『河童のクゥと夏休み 』が 大好きな作品になった原恵一監督の作品とあれば、 是非観に行かなくては! しかし、公開終了間近に行った映画館は満席でした。(T^T) 評判良かったのに、あまりやってなかったんですよね。 あれから ...続きを見る
映画、言いたい放題!
2011/06/03 01:58
カラフル
Colorful カラフル ★★★★☆(★4つ) ...続きを見る
食はすべての源なり。
2011/06/14 09:40
から揚げと肉まんだけでも世界の色は変わる ─ Colorful(カラフル) ─
─ Colorful(カラフル) ─ ...続きを見る
Prototypeシネマレビュー
2011/06/24 12:47

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
原作読んでるのね。
これ何の予備知識もなく、またアニメも日常はほとんど観ないので、みなさんとは違う視点で観てますが。。。

なので、ひろかじゃない、もう1人の動機がほとんど説明がなかったことがとても残念。
自分がその方の立場の目線で見てしまうからかな?
よほどの訳がないとああいうことはしないと思います。 なのでどうしてかな? が知りたかったんですけどね。 単に不満だったのでしょうか。。
rose_chocolat
URL
2010/08/22 03:17
日常を淡々と描きつつ、
そこに生きることの“意味”を訴えかけてくるような作品でした。
自分は何色なんだろう?と考えつつ、鑑賞していました。

ラストの携帯電話のメール・・・
もう、“from P”というのを見て、
感動が一気に押し寄せてきました。
BROOK
URL
2010/08/22 06:27
rose_chocolatさん、こんにちは♪
ひろかには自分から動機や心情を語らせたりしてるのに、母親にはそれが一切ありませんでしたね。客観的に義母との関係が出てくるくらいでした。
ちなみに原作では彼女が習い事にのめりこんだ経緯などが、真への手紙という形で告白されていきます。あれこれ手を出した挙句落ち着けたのがフラメンコ教室だったと。かなり長い手紙ですが、でも肝心の部分は「あなたに話すわけにはいかない」とけっきょく秘密のままなんですよ。

つまり真の目線で見るならば、母親がああいう行動に走った理由はわからずじまいということで、それがそのまま作品での表現になってるのかもしれません。
SOAR
2010/08/22 09:26
BROOKさん、こんにちは♪
SFでもファンタジーでもなく、それをきっかけとした社会派ドラマという感じでしたね。中学生たちが彼らそれぞれの価値観の中で懸命に生きている様子を、さりげない日常の一コマのように淡々と描いていました。

あのメールにはやられました。屋上でのやりとりが効いてますよね〜。原作品が素晴らしいのはもう一押しがあることで、本作では真の返信が実によかったと思います。
SOAR
2010/08/22 09:26
作品を観ているというよりも、まかり間違えばあったかもしれなかったのだ、という思いが心を占め、
作品云々以前に、誰も友達がいない教室へ行かなければならなかった中学生を思い、
あっちこっちで心の中では声を上げて泣いてしまいました。
ああ、本当に、抽選に当たってよかったねぇ…と
今思い出しても本気で涙がこみ上げて来て困ります。
悠雅
URL
2010/08/27 18:45
悠雅さん、こんにちは♪
イジメ、自殺、家庭内不和、援交に不倫と、観る人それぞれの立場や経験により、考えさせられたりドキリとしたり胸が痛くなったりと、各人がいろんな思いをめぐらせたことでしょうね。
とぼけた感じの当選シーンでのオープニングなのに、ラストでは「本当によかったね!」と彼に言ってあげたくなりました。
ふたりのクラスメートはもちろん、父、兄、そしてもちろん母親も最終的には彼を救ったと思います。少年の再生物語は家族の再生物語でもありましたよね。
SOAR
2010/08/29 12:40
早乙女クンのあの馬面笑顔がよかったですよね。
成績がクラス31位と32位でもいいじゃない。2人で頑張ればというくだりが凄く涙腺を刺激してくれましたよ。
にゃむばなな
URL
2010/09/02 18:04
にゃむばななさん、こんばんは♪
32人中31位と32位というのがマンガ的というかちょっとベタな気もしましたが(笑)、そんなふたりが心を通わせていく過程にはホロリでしたね。
SOAR
2010/09/03 01:05
一つ、一つの描き方のうまいこと、憎い描き方にいつもながら唸らされたのは、間違いなく事実なんですが、じゃあ子供が見たいか・・・、というと、見たくない、というんですよ。
いや、普通に見たいお子さんもいっぱいおられるとは思うんですが、見るのにちょっとした勇気と決断がいる。。。
話を知っている子供たちには、見たいテーマか・・というと、どうでしょうね・・。
見せたいテーマには違いないし、映画の好きな大人は見るだろうし、見て胸に迫るのですが、早乙女君の現れなかった真にはきついんですよねえ。
あたしが長女の読んだ「カラフル」を手にとったときに感じたのもそういうことだったのですが、そこからあまり成長してないです。残念ながら。
傑作には違いないのですが、どこか引っかかってます。
sakurai
URL
2010/09/05 22:29
sakuraiさん、こんばんは♪
現役の中高生にぜひ見せたい見てほしい的オーラがビンビン出てる作品なんですが、sakuraiさんの感想記事や頂いたコメントを読みつつ考えてみるに、むしろターゲットは昔中高生だった大人なのかもしれませんね。
いじめてた子、いじめられてた子、そういうのじゃないけど孤立してた子、ちょっと背伸びして大人の世界で遊んでた子。今はすっかりふつうのよき社会人よき親になってるかつて中高生だったそんな人たちこそが、この作品からいろんなことを感じ取れるのかもしれません。

で、この“子供向けの振りした大人向け”ってあたりがいかにも原監督らしいんだよなあって、改めて思いました。
SOAR
2010/09/05 23:50

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
『カラフル』・・・“生きてる?”from P SOARのパストラーレ♪/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる