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zoom RSS 『REDLINE』・・・詰め込み過ぎが惜しまれる

<<   作成日時 : 2010/10/10 11:05   >>

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重低音の効いた4ビートが生み出す迫力のグルーヴ。そのサウンドの中を猛スピードで駆け抜ける熱きレーサーたち。絶妙のタイミングでめまぐるしく切り替わっていく“カメラワーク”に瞬きする暇もない。
描かれる人やマシンには極端なデフォルメが施され、遠近感、立体感、距離感がその辺の3Dアニメとは全く違うアプローチで表現されていく。

いやはや、これはまたすごいアニメが出来上がったものだ。キャラがとかマシンがとかいうレベルではなく、映像すべてが生き生きと輝いている印象である。CGや3Dを否定するつもりは毛頭ないが、スタッフが4年かけて10万枚を描き上げたという手描き作品の持つ人間臭さみたいなものが実に心地よかったのも事実。

宇宙最速を決めるべく5年に一度開かれるレース<REDLINE>に出場することになった主人公JP(木村拓哉・声)と、同じ地区の予選から勝ち上がったソノシー(蒼井優・声)のロマンスが、二人の過去の回想シーンを交えながら描かれる。二人はかつて会ったことがあり言葉も交わしているのだが、どうやらソノシーは覚えていない。JPのレースに挑むモチベーションは他ならぬソノシーへの想いでもあるのに。

相変わらず蒼井優のセンスは抜群で、この人本格的に声優転向する気はないかなあと改めて思ってしまった。

ところがこのロマンス、残念なことに過去パートが説明不足のせいもありレース終盤で一気に盛り上がる・・・はずがどうにも盛り上がらない。回想シーンがちっとも活きてないんだよなあ。
そもそもカーレースアニメなのに、ただただアクセル全開、ニトロ添加、ヤバくなったらミサイル撃っちゃえ(笑)というレース描写はあまりに大味。各マシンのスペックは細かく設定されているようだが、肝心のドラテクや互いの駆け引き、そして心理戦がさっぱり描かれないのはもったいない。エンジンもレシプロなんだかジェットなんだか。

また、この<REDLINE>開催地ロボワールドが軍事政権の星で、レースを認めないという大統領の意向により軍隊がレースを妨害するのだが、この流れも政治的にイマイチよくわからない。しまいにはテレビ中継解説者が言うところの“見るからに見てはいけなそうな”生物兵器が登場してしまう。この『AKIRA』チックな兵器は作品としてハメを外しすぎではなかろうか。軍の最高指揮官の大佐が神経接続って・・・もはや別のアニメだ(苦笑)

いや、総じて後味は悪くない。かなり面白かったんだよ。

ただ、102分で仕上げるならもっと的を絞らないと肝心な部分がブレてしまう。JPと仲間たちの信頼関係が上っ面だけで深みがないので、フリスビーが八百長に手を染める経緯も曖昧に感じたし、しきりに仲間意識を強調するジャンク屋のおっちゃんもその思いがあまり伝わってこない。
出場レーサーたちもせっかく個性的なキャラが揃ってるのに、とうとう誰が誰やらわからんうちに終わってしまった・・・(笑)

壮大なドラマのクライマックスの部分に過去シーンを断片的に織り交ぜたダイジェスト版とでもいおうか、そんな印象である。世界観は好きなので、後日譚なりエピソード0的な続編によってきちんとこの作品がフォローされていくのなら期待したいところだが、企画立ち上げから7年、10万枚の手描き作画に4年ということが宣伝文句にもなってる以上仮に続編の構想があったにしてもこのクオリティを下げるわけにはいかないから・・・まあこれで終わりだろう。

容姿の異なる星人たちが集まる怪しげで胡散臭い雰囲気は『スターウォーズ』や『コブラ』のようで悪くない。ルール無用のデスレースというのもその手のアニメで育った世代としてはOKだ。第三者が武力で妨害するのもほどほどならば面白さが増すだろう。最初のほうで触れたように絵と音は文句なし。

要は詰め込み過ぎなのだ。

メカ描写が売りの作品だからといって人間ドラマが希薄では本末転倒。
フリスビーやソノシーとの昔話をもう少し丁寧に見せてもらえたら、代わりにロボワールド軍にかかわるあれこれをもう少し控えめにしてもらえたら、そして見所であるレースシーンをハチャメチャな要素はそのままでさらにリアリティを増してもらえたら・・・。そしたら私、大絶賛だったんだけどねぇ。

とにかくかなりのレベルで面白かっただけに、惜しい部分もあとからたくさん出てきてしまった感じ。
優しい線で描かれる昨今の平面的なアニメに比べれば段違いのインパクトが本作には確かにある。見応えという点での私の評価は高い。それだけに絵や音の迫力に内容が追い付ききれなかったことが惜しまれる。
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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
自ら速さとテクでレースに勝つのがポリシーだといっておいてああですからね。そもそもレースシーンしか見所ないのに、最大の見せ場のREDLINEで何やらレース以外の要素まで入り乱れてぐっちゃぐちゃじゃあ、仰るとおり本末転倒です。
KLY
2010/10/10 11:46
KLYさん、こんにちは♪
振り返ってみると予選の<YELLOWLINE>のほうがレースらしさがありましたよね。メインとなる<REDLINE>をレースどころじゃない状態にまで混乱させてしまうのはやり過ぎでした。
多少の妨害障害を切り抜けながらレーサーたちが疾走する・・・そんなレベルに抑えてくれたらよかったのにと思います。アニメとしての絵の部分はすごくよかっただけにもったいないなあ。
SOAR
2010/10/11 11:56
途中から話の内容にはとんとついて行けなくなったので、もうこれは絵を堪能する!という風に自分の中で切り替えた感がありました。
とにかく絵描く方にエネルギー使いすぎましたかね。
でもあんだけの絵だったら、話が破たんしてても許せるかな・・と思いましたわ。とにかく動いてる絵を見せたいのがこの作品の一番の主張なような気がして。
sakurai
URL
2010/10/15 07:58
sakuraiさん、こんにちは♪
そうですね〜、この作品はまず絵ありきだったんでしょうね。あのデフォルメや独特のパースは意図的にプログラムしない限りCGでは出せないでしょうから、その出来映えは手描きにこだわっただけのことはあったと思います。
その上で贅沢を言わせてもらえるなら、キャラやお話をもう少し整理してくれてたらなあと。
SOAR
2010/10/17 10:14
コメントありがとうございました!

いろいろ同感ですー
絵がサイコーによかっただけに、もったいないところが気になってしまいました。
アニメ映画として、個人的にはとっても好みのタイプなのに
大絶賛できなくて残念。

またおじゃまします。

kenko
URL
2010/10/18 19:09
kenkoさん、こんばんは♪
こちらこそ先日は早々にTBありがとうございました。

なかなか面白かったし、手描きでアニメ作ったぜ!っていう力強さみたいな物はすごく感じたんですよね。
それだけにいろんな面でバランスが悪かったのがとても残念。でも観た後の印象は、けっして悪い作品ではなかったです。
SOAR
2010/10/19 00:32

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