『ワールド・トレード・センター』の価値

8月の『ユナイテッド93』に続いて、同じくあの「9.11」を扱った作品、『ワールド・トレード・センター』を観た。

【多少ネタバレあり】
崩壊した世界貿易センタービルで生き埋めになった二人の警官ジョンとウィルが救出されるまでを、暗闇での二人の会話や回想を中心に、安否を気遣うそれぞれの家族の様子と合わせて描いている作品である。
映像と音響効果はかなりのものだと思う。明と暗、静と動がうまく表現されていて、これについては劇場鑑賞でなければ味わえないド迫力。突然スクリーンが真っ暗になり音も無くなってしまうという表現が何度かあって、その間合いがなんとも絶妙だった。最初の時は劇場側のトラブルかと思ってしまったよ(笑)

しかしながら『ユナイテッド93』を見終わったあとに感じたような強烈なインパクトは正直なかったな。そのかわりウィルとその妻アリソンの間に生まれ来る子供の名前についての件(くだり)や、ジョンの妻ドナが病院で出会うエレベーターボーイの母親など、ホロリとさせられるシーンは満載である。
そのあたりが逆にオリバー・ストーン監督らしくないような気もするが、当時ビル内にいたビジネスマンたちの悲劇ではなく、あとからビルに入っていわば二次災害にあった警官のほうをあえて描いている点では彼らしいと言えるかもしれない。

事故、遭難、生死の瀬戸際、家族、そして生還。

こう考えるとテーマとしてはけっして目新しい部類の映画ではない。もっと言ってしまえば似たようなテーマでより感動を与えてくれる映画はいくらでもある。だがこの作品の意義とはそういうことではないんじゃないかな。

一睡もせず気付けば朝までテレビに釘付けになっていたあの日。

マンハッタンを代表する摩天楼があっけなく崩れ落ちる様を捉えた映像に、言葉を失ったあの日。

あの日・・・2001年9月11日にアメリカで起こった史上最悪のテロリズムを、世界中の人の記憶に残しておくための手段の一つとしての価値が、『ユナイテッド93』と『ワールド・トレード・センター』にはきっとあると思うのだ。

☆『ワールド・トレード・センター』公式サイト
☆『ユナイテッド93』公式サイト

この記事へのコメント

2006年10月15日 21:37
ドキュメンタリータッチで衝撃的だった『ユナイテッド93』とはまた違った視点なんですね。私も近々観にいこうと思っています。SOARさんの記事を参考にしっかり観てこよう。
SOAR
2006年10月15日 23:29
spicaさん、こんばんは♪
そうです。こちらは事実に基づいたドラマ仕立ての作品。ニコラス・ケイジが抑えめのいい演技をしていますよ~。(ファンなのでひいき目もあるかも)
ご覧になったら感想聞かせてくださいね。
2006年10月18日 19:35
観てきましたよ~。トラックバックしちゃいました。
良かったです。そうニコケイの演技も抑えめだし、映画自体が過剰でなく抑えた表現だと感じました。それだけに訴えかけてくるものがあります。
それにしても主演の2人、ほとんど動けないまま顔だけで演技しているしているようなもので、大変だっただろうな。それで見せるんだからたいしたものです。
SOAR
2006年10月19日 00:16
spicaさん、こんばんは♪
はい、私からもさっそくTBお返しさせていただきましたよ~。
いい映画ですよね。実話を基にした作品としては、脚色を極力控えてる感じがしました。spicaさんがそちらのブログで書かれているように、必要以上に涙を誘うような描き方はしていないところに好感がもてるし、それがリアリティを増してもいる。
顔のみの出演、しかもその顔は黒く汚れ、おまけにあたりは暗がり。たしかに役者泣かせの状況です。俳優さんってスゴイ!

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  • ワールド・トレード・センター

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  • ワールド・トレード・センター(思ったより淡々と)

    Excerpt: 「ユナイテッド93」に続き9.11を描いた物語。 Weblog: いつかどこかで racked: 2006-10-18 19:25
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