『G.I.ジョー』・・・B級ならではの醍醐味を楽しめれば
観る前の期待感と観た後の失望感、その落差の度合いという点では今年これまでに劇場鑑賞した35作品中文句なしの一等賞である(笑)
もちろんワーストワンの35位という意味ではない。それなりにお金と手間隙をかけたB級アクション大作(?)としての評価はしてあげたいと思う。パンフ表紙をめくると目に入る“陸・海・空、世界各地を舞台に、かつてない壮絶なバトル ノンストップの強烈映像を体感せよ!!”というコピーはなるほどけっしてウソではないんだなあ。要するに私個人が過度に期待してしまった結果の期待はずれってことで。
最大の見所はなんと言ってもパリでの攻防。これは圧巻だ。次々と車を壊しながらのカーチェイスはアクション映画の定番だが、本作では跳ね上がる車が縦回転するのが斬新にして大迫力だった。これはコブラの改造SUVに秘密があるんだけどね。
スカーレット(レイチェル・ニコルズ)のバイクの無茶苦茶走行もスゴイ。正直“リアル”さに欠ける不自然な動きも散見されたが、パリでのシーン全体において“リアリティ”はちゃんと感じられたのが上手いところだ。
そして極め付けがハイパースーツ!これを着用してコブラのSUVを追いかけるデューク(チャニング・テイタム)とリップコード(マーロン・ウェイアンズ)のスピード感とジャンプ力の描写は、少なくとも私にとっては初めて見る映像表現で度肝を抜かれた思いだ。後方発射ロケット弾をかわす二人の動きをスローで見せる予告でもおなじみのあのシーンも、やはりスゴかった!
見た目に重量感ある特殊スーツであの機動力。ガンダムファンには申し訳ないがあれぞ究極のモビルスーツと言えよう。
残念なのはやはり薄っぺらな印象の各キャラクター像。敵味方に分かれながらもそれぞれに宿命や因縁があるという設定がどうも活かしきれてないように感じた。置かれる伏線がしっくりこず、“だから何?”的なものが多かったと思うのは私だけではないはず。
スネークアイズとストームシャドー(イ・ビョンホン)の幼少期の出来事しかり、東アフリカ某国での作戦に参加していたデュークとアナ(シエナ・ミラー)の弟レックスの悲劇しかり。後にまさかの登場があるレックスについては驚かされたが、東アフリカでの伏線とのリンクがいまひとつ弱いのだ。イムホテップ(笑)のあれこれとホワイトハウス執務室で口笛を吹く大統領のあのオチも、作品のオチとしてどうも効き切れてない。言いたいことはわかるがこれまた“だから何?”である。(ただし、もし続編があるのなら彼の存在はきわめて重要)
そんなこんなでハズレではないが、私にとって大当たりとまでは行かなかった本作。けっきょく印象に残ったのは前述のパリのシーンくらいかも。キャラたちの描き方や絡ませ方次第でもっと面白くなる要素があっただけに非常に惜しまれる。
そのあたりを考えたとき、一見シッチャカメッチャカな印象を与える『トランスフォーマー/リベンジ』が、アクションにしろキャラ描写にしろ、実はかなり計算された上で成り立つメカアクション・エンタメ作品であることに気付かされるのだ。(ホントか?)
ところで、メカの造形はコブラ側のほうがカッコいい~!
主力飛行メカ(名称ワカラン)の空中での動きやランディングギアの構造など、『エイリアン2』に登場する強襲降下艇(ドロップシップ)に酷似していたのがうれしかった~。なにせ古今東西SF映画に登場する架空飛行メカの中で『エイリアン2』のドロップシップ(と『宇宙戦艦ヤマト』シリーズのコスモタイガーII)が、私、気絶するほど大好きなので(笑)
で冒頭、デュークとリップコードらNATOの特殊部隊を護衛する2機のAH64アパッチ戦闘ヘリが、その飛行メカにあっけなく撃墜されてしまうのだが、そもそも『エイリアン2』のドロップシップ機首付近のデザインは、当時のジェームズ・キャメロンがAH64アパッチのプラモデルからイメージを膨らませたんだったと記憶している。そんな小ネタにもならない小ネタにニヤリだった私♪
中盤でリップコードがコブラの基地から奪取しミサイルを追撃する戦闘機(名称ワスレタ)もカッコヨイねぇ。、地上にあるときの横からのショットは『ステルス』のタロンみたいで(離陸後にわかる平面形は全くの別物だったが)これまたうれしくなってしまった。
それにしても最近のハリウッド映画、ピラミッドを破壊したりエッフェル塔を倒壊させたりと文化的歴史的遺産を相手にやりたい放題だが、作り話とはいえあれもこれも派手にぶっ壊していいのかな~???
☆『G.I.ジョー』公式サイト
もちろんワーストワンの35位という意味ではない。それなりにお金と手間隙をかけたB級アクション大作(?)としての評価はしてあげたいと思う。パンフ表紙をめくると目に入る“陸・海・空、世界各地を舞台に、かつてない壮絶なバトル ノンストップの強烈映像を体感せよ!!”というコピーはなるほどけっしてウソではないんだなあ。要するに私個人が過度に期待してしまった結果の期待はずれってことで。
最大の見所はなんと言ってもパリでの攻防。これは圧巻だ。次々と車を壊しながらのカーチェイスはアクション映画の定番だが、本作では跳ね上がる車が縦回転するのが斬新にして大迫力だった。これはコブラの改造SUVに秘密があるんだけどね。
スカーレット(レイチェル・ニコルズ)のバイクの無茶苦茶走行もスゴイ。正直“リアル”さに欠ける不自然な動きも散見されたが、パリでのシーン全体において“リアリティ”はちゃんと感じられたのが上手いところだ。
そして極め付けがハイパースーツ!これを着用してコブラのSUVを追いかけるデューク(チャニング・テイタム)とリップコード(マーロン・ウェイアンズ)のスピード感とジャンプ力の描写は、少なくとも私にとっては初めて見る映像表現で度肝を抜かれた思いだ。後方発射ロケット弾をかわす二人の動きをスローで見せる予告でもおなじみのあのシーンも、やはりスゴかった!
見た目に重量感ある特殊スーツであの機動力。ガンダムファンには申し訳ないがあれぞ究極のモビルスーツと言えよう。
残念なのはやはり薄っぺらな印象の各キャラクター像。敵味方に分かれながらもそれぞれに宿命や因縁があるという設定がどうも活かしきれてないように感じた。置かれる伏線がしっくりこず、“だから何?”的なものが多かったと思うのは私だけではないはず。
スネークアイズとストームシャドー(イ・ビョンホン)の幼少期の出来事しかり、東アフリカ某国での作戦に参加していたデュークとアナ(シエナ・ミラー)の弟レックスの悲劇しかり。後にまさかの登場があるレックスについては驚かされたが、東アフリカでの伏線とのリンクがいまひとつ弱いのだ。イムホテップ(笑)のあれこれとホワイトハウス執務室で口笛を吹く大統領のあのオチも、作品のオチとしてどうも効き切れてない。言いたいことはわかるがこれまた“だから何?”である。(ただし、もし続編があるのなら彼の存在はきわめて重要)
そんなこんなでハズレではないが、私にとって大当たりとまでは行かなかった本作。けっきょく印象に残ったのは前述のパリのシーンくらいかも。キャラたちの描き方や絡ませ方次第でもっと面白くなる要素があっただけに非常に惜しまれる。
そのあたりを考えたとき、一見シッチャカメッチャカな印象を与える『トランスフォーマー/リベンジ』が、アクションにしろキャラ描写にしろ、実はかなり計算された上で成り立つメカアクション・エンタメ作品であることに気付かされるのだ。(ホントか?)
ところで、メカの造形はコブラ側のほうがカッコいい~!
主力飛行メカ(名称ワカラン)の空中での動きやランディングギアの構造など、『エイリアン2』に登場する強襲降下艇(ドロップシップ)に酷似していたのがうれしかった~。なにせ古今東西SF映画に登場する架空飛行メカの中で『エイリアン2』のドロップシップ(と『宇宙戦艦ヤマト』シリーズのコスモタイガーII)が、私、気絶するほど大好きなので(笑)
で冒頭、デュークとリップコードらNATOの特殊部隊を護衛する2機のAH64アパッチ戦闘ヘリが、その飛行メカにあっけなく撃墜されてしまうのだが、そもそも『エイリアン2』のドロップシップ機首付近のデザインは、当時のジェームズ・キャメロンがAH64アパッチのプラモデルからイメージを膨らませたんだったと記憶している。そんな小ネタにもならない小ネタにニヤリだった私♪
中盤でリップコードがコブラの基地から奪取しミサイルを追撃する戦闘機(名称ワスレタ)もカッコヨイねぇ。、地上にあるときの横からのショットは『ステルス』のタロンみたいで(離陸後にわかる平面形は全くの別物だったが)これまたうれしくなってしまった。
それにしても最近のハリウッド映画、ピラミッドを破壊したりエッフェル塔を倒壊させたりと文化的歴史的遺産を相手にやりたい放題だが、作り話とはいえあれもこれも派手にぶっ壊していいのかな~???
☆『G.I.ジョー』公式サイト
この記事へのコメント
たしかにパリのシーンは凄いアクションでしたね。
そこが一番印象的だったのは確かだと思います。
ストーリー展開の方は・・・
ちょっと“薄い”ですよね。
映像は派手でしたが、、、内容が薄っぺらで何も残りませんでしたね(汗)観ている間もただボーっとしていた気がします。
>置かれる伏線がしっくりこず、“だから何?”的なものが多かった
私もそうだったんです。丁寧にドラマを描いているようで、、、イマイチしっくりこず、尚更ボーっとしたのかもしれません。
同じ派手ならトランスフォーマーの方が断然好みでした♪(笑)
イ・ビョンホンが脱ぎ出した時には大笑いしましたよ。何で脱ぐ必要があるんだよ!って。(笑)だんだんジェイソン・ステイサム化してきました。あの腹筋強調ポーズ?は『アイカム・ウィズ・ザ・レイン』と同じなんですよねぇ。でも、こういう作品にメインで出るのが大したもので、日本人がいないことに寂しさも覚えました…。
パリの追いかけっこのシーンは僕も気に入りました。
全然秘匿部隊じゃないんですけど!と言いたくなりますが、まあそういうツッコミはなしで観るのがいいんでしょうねえ。
このあたりから最後までは一気に引っ張っていく力技で、サマームービートしてはうってつけという感じがしました。
パリのチェイスシーン、あのアクションは圧巻でした。その反面ストーリーはこれと言った起伏もない平凡な物でしたが、B級感たっぷりの雰囲気がまた楽しかったですね。
映像の派手さをメインに、ストーリーは何でもありのやりたい放題・・・。これって「トランスフォーマー/リベンジ」と同じなんですが、比べてみるとトランスフォーマーはあれでなかなか脚本がしっかりしてたんだなあと再確認できました(笑)
伏線の張り方にはもう一工夫欲しかったですね。
私も酷評された昨年の「ハムナプトラ3」を高評価した奇特な人間です(笑)
監督は突っ込まれるのも計算ずくなのかもしれませんよね(それはないか?)
それなりに意味があるはずのスーツを脱いでしまう兵士というのも困ったものですが、イ・ビョンホンの存在感はかなりの物がありました。忍者をイメージしたキャラだけに日本人俳優に演じて欲しかったけど・・・。
ツッコミどころをいちいち挙げてたら楽しみが半減しちゃう典型の作品だったと思います。
ストーリーはいまひとつでしたが、パリ以降の展開は勢いあるノンストップアクションとして見応えありましたね。
夏休みにこんな一本はぜひ欲しいところです。
夏休みの作品だけに大甘な気分で楽しかったですよ(少数派?)
「トランスフォーマー」ではピラミッドがやられ、この作品ではパリがやられ、ホント好き放題ですよね。
世界遺産とかがやられてしまうと妙にドキッとしてしまうのです。
物語の起伏がもっとあればよかったのにって思います。ただしこれって両刃の剣でもあるんですよね。同じ映像勝負的な作品「TF/リベンジ」では、緊迫したりユルかったりの行き当たりばったり感を辛口評価する方も多かったわけで、たぶんあちらを高評価したブロガーさんほど、本作は辛口かもしれませんね。
逆にあっちがダメだった方は本作のほうが楽しめたのかもしれません。
↑ あー、わかります。。。 私も、さてblogにしようかと思いましたが、書くことが思いつかなくて。 夏休みなので、これでもかこれでもかと、似たようなアクション&近未来系があふれててちょっと自分は食傷気味かもしれません。トランスフォーマーリベンジは結局観ないまま終わりそうです。
次回作、たぶんありかなと思うんですが(笑)、全員生き返りそうな予感がしっかりとしていませんか?
迫力もありまずまず楽しめたのですが、近未来アクション物の中では埋もれてしまいそうなレベルかなあ。
でもあの大統領の存在は続編を思いっきり匂わせますね。
うん、その予感しますします!
イ・ビョンホン死んでないよね、たぶん(笑)
B級なのですが私はかなり楽しんじゃいました!突っ込みどころは満載ですが、それはそれって感じで(笑)
あのスーツ着て走ってみたいー
冷夏ではありましたが、なまじ涼しかったので、暑くなるとこたえますわ。そんな暑いときに、何も期待感も持たず、ほとんど予告も見ずに臨んだので、結構楽しませんてもらいました。
ソマーズ監督ですからねえ。おバカ加減が、夏にふさわしかったです。
けっしてB級ではないんでしょうけど、このB級臭さがたまらない魅力の作品ですよね!
真剣にツッコミ入れてたら楽しみ半減かもしれません。
お~、確かにアレ着てみたい!
重そうなのにものすごい身軽さ・・・体験したいかも♪
すっきりしないまま終わりかけた夏が残暑という名目で帰ってきたような、そんな毎日ですねぇ。
この監督さん、壮大な設定をいかにおバカに見せるかに掛けてるフシが絶対ありますよね!
東北の暑さは大変でしょう。お身体壊さぬように。
期待が大きかったぶん,肩すかしだったのかな?
私はその逆で,期待してなかったので(そもそも観る予定でなかった)「あれ,これ案外面白い!」と楽しめました。
一番のお気に入りはやっぱりあのパリの街の中のカーチェイス,特に皆さんもおっしゃってるハイパースーツの活躍は面白かったです。
ストームシャドーとスネークアイズの確執ももっと観たかったですね。まあアクションや映像以外の人物の背景の掘り下げなんかは,全体的に弱い作品ですね。
なんというか、つまらなかったわけではないんですよ。期待したのと若干方向性が違ったかなって感じですね。十分楽しめました。
各キャラの設定や相互関係が意外と凝っているのもよかったです。おっしゃるようにその掘り下げがいまひとつだったのは残念ですが。
まあ、続編があったら絶対観ると思います♪
「つまらなかったわけではない・・・」って感想同感です。アクションは凄かったけれど・・・ですね。
「トランスフォーマー」未見なのですが、こちらを見るべきだったんでしょうか?
これ、絶対続編ありですよね。
確かに歴史的建造物は大事にせんといけません。
B級感あふれる作品なんですが、お金をかけたVFXやアクションは相当高いレベル。一見安っぽいのに実はすごい作品でしたよね。続編を期待させるあのラスト、あれやられちゃあ見ないわけにはいきませんね。
あ、私は「トランスフォーマー・リベンジ」高評価ですよ~!