『あなたは私の婿になる』・・・コメディタッチの人間ドラマ
やり手のキャリアウーマンと部下の青年が都会で繰り広げる王道的なドタバタコメディを想像していたら、物語の舞台はその大半が青年の故郷であるアラスカ州シトカ。雄大な自然と小さな港町の風景がじんわりと心に染み入った。アコギターとストリングスが要所要所で静かに奏でるBGMも実に心地よい。
ジャンルとしてはもちろん恋愛コメディに違いないのだがヒューマンドラマの部分もたっぷりと作り込まれていて、笑わせるだけではなくしんみりほっこり要素も堪能できるなかなかの秀作。ある意味斬新なラブコメとして『男と女の不都合な真実』が好印象だったばかりだが、こちらもまた私にとっては捨てがたい作品となった。
鬼編集長マーガレット(サンドラ・ブロック)と、忠実なアシスタントのアンドリュー(ライアン・レイノルズ)。序盤のこの二人の掛け合いがまずおもしろい。特にアンドリューのキャラがユニークだ。コーヒーショップでは軽い男、出社後もなんだかお調子者の雰囲気が漂う彼だが秘書業務は気持ちいいほどに完璧。そんな彼が重役室でのマーガレットのとんでもない行動に対して見せるキョトン、ポカンの表情がまたいい。
けっきょくマーガレットに連れられあれよあれよと移民局まで来てしまうが、ここから彼のしたたかさが本領発揮。偽装結婚を承諾する変わりにマーガレットに自分の出世を約束させてしまう。後で思うとこの時点で二人の関係はもう形勢逆転だったのかもしれない。嘘の婚約披露のため二人が訪れたアンドリューの故郷アラスカのシトカでは完全にアンドリューのペースだったし、何でも言うことを聞く忠実な部下でしかなかったはずの男が故郷で見せる様々な表情や豊かな人間関係は、孤独が何よりのコンプレックスだったマーガレットの心を確実に掴んでしまったのだから。
二人を迎えるアンドリューのおばあちゃんとお母さんもいいキャラである。おばあちゃんは茶目っ気たっぷりだし、お母さんもニコニコと笑顔を絶やさない。アンドリューが大学まで付き合っていたという元カノもまたマーガレットに祝福の言葉をかける。
偽装結婚なのに、すぐ離婚する手はずなのに、それを知らずに温かく迎えてくれるパクストン家や街の人たちのこうした優しさに触れる中でマーガレットの心は少しずつ変化していき、嘘をつき通せなくなった彼女はついに・・・。
邦題の『あなたは私の婿になる』には有無を言わせぬ上司命令による断定の感があるが、二人の関係がラストでどう変わっていくのかを原題の『THE PROPOSAL』を意識しつつ観るのも楽しいかもしれない。
3年前の『イルマーレ』や今年初めの『シャッフル』を見る限り、もうサンドラのラブコメはお目にかかれないような気がしていたところへのこの作品。しかも年齢から来る無理など感じさせないばかりか本作でのキャスティングは最適だった。文字通りの身体を張った大胆な(?)演技など拍手を送りたくなったほどだ。
やはり“できるキャリアの女”がまだまだ似合いそうなオーラが彼女にはある。作風がコメディでもシリアスでも、そこがサンドラ・ブロックという女優の魅力のひとつなのだ。
★『あなたは私の婿になる』公式サイト
★関連過去記事(サンドラ・ブロック主演作品)
『イルマーレ』・・・あの木欲しいんですけど(^^ゞ(2006/10/29)
『シャッフル』・・・奇妙な仕掛けは悪くないが(2009/02/02)
ジャンルとしてはもちろん恋愛コメディに違いないのだがヒューマンドラマの部分もたっぷりと作り込まれていて、笑わせるだけではなくしんみりほっこり要素も堪能できるなかなかの秀作。ある意味斬新なラブコメとして『男と女の不都合な真実』が好印象だったばかりだが、こちらもまた私にとっては捨てがたい作品となった。
鬼編集長マーガレット(サンドラ・ブロック)と、忠実なアシスタントのアンドリュー(ライアン・レイノルズ)。序盤のこの二人の掛け合いがまずおもしろい。特にアンドリューのキャラがユニークだ。コーヒーショップでは軽い男、出社後もなんだかお調子者の雰囲気が漂う彼だが秘書業務は気持ちいいほどに完璧。そんな彼が重役室でのマーガレットのとんでもない行動に対して見せるキョトン、ポカンの表情がまたいい。
けっきょくマーガレットに連れられあれよあれよと移民局まで来てしまうが、ここから彼のしたたかさが本領発揮。偽装結婚を承諾する変わりにマーガレットに自分の出世を約束させてしまう。後で思うとこの時点で二人の関係はもう形勢逆転だったのかもしれない。嘘の婚約披露のため二人が訪れたアンドリューの故郷アラスカのシトカでは完全にアンドリューのペースだったし、何でも言うことを聞く忠実な部下でしかなかったはずの男が故郷で見せる様々な表情や豊かな人間関係は、孤独が何よりのコンプレックスだったマーガレットの心を確実に掴んでしまったのだから。
二人を迎えるアンドリューのおばあちゃんとお母さんもいいキャラである。おばあちゃんは茶目っ気たっぷりだし、お母さんもニコニコと笑顔を絶やさない。アンドリューが大学まで付き合っていたという元カノもまたマーガレットに祝福の言葉をかける。
偽装結婚なのに、すぐ離婚する手はずなのに、それを知らずに温かく迎えてくれるパクストン家や街の人たちのこうした優しさに触れる中でマーガレットの心は少しずつ変化していき、嘘をつき通せなくなった彼女はついに・・・。
邦題の『あなたは私の婿になる』には有無を言わせぬ上司命令による断定の感があるが、二人の関係がラストでどう変わっていくのかを原題の『THE PROPOSAL』を意識しつつ観るのも楽しいかもしれない。
3年前の『イルマーレ』や今年初めの『シャッフル』を見る限り、もうサンドラのラブコメはお目にかかれないような気がしていたところへのこの作品。しかも年齢から来る無理など感じさせないばかりか本作でのキャスティングは最適だった。文字通りの身体を張った大胆な(?)演技など拍手を送りたくなったほどだ。
やはり“できるキャリアの女”がまだまだ似合いそうなオーラが彼女にはある。作風がコメディでもシリアスでも、そこがサンドラ・ブロックという女優の魅力のひとつなのだ。
★『あなたは私の婿になる』公式サイト
★関連過去記事(サンドラ・ブロック主演作品)
『イルマーレ』・・・あの木欲しいんですけど(^^ゞ(2006/10/29)
『シャッフル』・・・奇妙な仕掛けは悪くないが(2009/02/02)
この記事へのコメント
TBありがとうございました♪
久々のサンドラコメディでしたが
王道故に完全にサンドラの魅力に
依存していましたねw
地方の田舎町が舞台ということで、サンドラコメディにしては新鮮な印象を受けました。
確かに彼女ありきの作品ではありますね。
楽しかったですね。
バリバリのキャリアウーマンも、ちょっとしおらしい姿も無理なく表すことができるのは、やっぱサンドラ・ブロックかなあと思いました。
彼女は、ああやって自分を無理に強くしなきゃ生きてこれなかったんだ!ということも無理なくわかるし、それを包みこめたアンドリューも素敵!
あの体を張った!!もよかったですねぇ。
媚を感じないからだと思います。
それに引き換えアンドリューの元カノはいかにも男性がすきそうなタイプ(笑)
でも、イイ子だったので良しとします。
アンドリューが誠実そうだったので、この年の差カップルは上手くいきそうだな~と思わせるのも良かったです。
凛としたキャリアウーマンが今のサンドラには似合うと思うんですが、強がることなく素直になっていく女の可愛らしさもまたぴったりでしたね。
それにしてもアンドリューがニクいですよねぇ。仕事上ではベストパートナーでもそれ以上の関係には興味なし・・・って感じがよく出てた序盤が、あんなふうに発展していくなんて!
アンドリュー、もっと軽薄な男かと思ったら、きちんとした誠実な青年でしたね。たしかに上手くいきそうな雰囲気があります。ハッピーエンドであっても、長くは続かなそうだな~ってカップルいますもんね(笑)
あー、元カノ。ルックスも性格もなかなかイイ子でした。はい、好きなタイプです(汗)
サンドラ本人の魅力で持って行ってましたね。
ここのところ、『しあわせの隠れ場所』にも言えますけど。 いいことですね。
ライアン・レイノルズの演技も初めて観ましたけど、『ベガ恋』のアシュトン・カッチャーっぽくて、ラブコメ向きですね。今後が楽しみです~
「ムコ」と「婿」、劇場公開時は「婿」のほうがでっかく書いてあったんですが、DVD化にあたり「ムコ」のほうをメインにしたようですね。たしかに混乱します。
『ベガ恋』のアシュトンか~。主導権を握る女に振り回されてるようで実はこっちが主導権・・・みたいな雰囲気はなるほどおんなじだ。
アシュトンよりもいろんな役をこなせる器用さもありそうで、ちょっと注目ですね彼。