『トゥルー・グリット』・・・瞬く数多の遠い世界よ

まず観ることのないジャンルというものが私にもあって、そのひとつが西部劇。本作もジョン・ウェイン主演の傑作西部劇のリメイクとのことだったので、当初は鑑賞予定がまったくなかった。
ところが先の83回アカデミー賞において10部門ノミネートながら無冠に終わったことがむしろ興味の対象となり、ちょうど営業再開となったTOHOシネマズ某にて鑑賞してきた。

結論から言うとこれは面白かった。
父を殺された少女マティが保安官コグバーン（ジェフ・ブリッジス）とテキサス･レンジャーのラビーフ（マット・デイモン）の力を借り、父の形見の銃を手に犯人チェイニーを追う旅に出る復讐劇。
仇を討つ使命感に燃える少女マティの幼いながらも凛とした強い姿と、そして必ずしも正義感の固まりとは言い切れない微妙なキャラ設定の二人の男のそれゆえのカッコよさと。
とにかくシンプルなストーリーにあって、この3人の互いに牽制し合うような駆け引きや、徐々に信頼関係が構築されていく過程の細かい心理描写がいい。

何より印象的だったのは怪我をしたマティを連れたコグバーンが、馬を駆り満天の星空の下を疾走するシーン。愛馬が力尽きれば自ら少女を抱き抱えて走る姿が心を打つ。続くラストシーンでは時が経ち成長したマティ（本作は大人になったマティのモノローグから始まっている）がコグバーンを訪ねて来る場面となるのだが、このシーンに流れる賛美歌のメロディは日本人なら誰もが知っている『星の世界』。原詞に星を思わせる内容はおそらくないだろうから、この仕組まれたかのような、しかし偶然であろうこの合致にぐっと来るものがあった。
そもそも本作で使われるBGMはピアノとストリングス主体の静かな曲が多かったので、件の星空の疾走シーンにもこのメロディが案外似合ったかもしれない。

輝く夜空の星の光よ　瞬く数多の遠い世界よ・・・・・・か。


それにしても（ご本人の風貌が与える印象のせいもあるだろうが）、ジェフ・ブリッジスはこういう役がピタリとはまる。一見飲んだくれのダメ保安官のようで、誰よりも男気に厚い正義漢。それこそ彼のためにあるかのようなハマり役だった。

10部門ノミネートにして無冠。非常に残念！

そうそう。アカデミーと言えば、クマの毛皮をかぶったジェームズ・フランコがアン・ハサウェイとともに馬に乗って現れ、『トロン』ネタでジェフを茶化すというあのシーンを楽しみにしていたのだが・・・（そんなのありません。あれはパロディ）

Comments

[BROOK]

ストーリーはシンプルなのですが、
その中にいろいろな要素が凝縮されていて、
とても面白かったです♪
西部劇も侮れませんね。

星空のシーンは、本当に素敵でした。
思わずこみ上げてくるものがありました。

２５年後のエピローグも良かったです。

[SOAR]

BROOKさん、こんばんは♪
仇討ちの話はシンプルでストレートなほうがやっぱりいいですね。そのうえで本作のようにいろいろな要素が無理なく詰まっていればもう最高。
星空のシーンとその後を描くエピローグ。そんな最後の見せ方も気に入りました。

[にゃむばなな]

ほんと、ジェフ・ブリッジスはこういう役が似合いますよね。
銃を構えるその姿だけでもシビれましたよ。

[SOAR]

にゃむばななさん、こんばんは♪
『トロン』の彼よりこっちの雰囲気のほうが似合うし好きですね。どこか道を外れた感があって、それでいて正義の男、本作で言うところの真の勇者。かっこよかったです。

[オリーブリー]

こんばんは。

音楽も良かったですね～作風と合っていたし、満天の星空を駆け抜けるリトル・ブラッキーにウルウルでした。
好みではオバサンがちょっと…（苦笑）
もう少し面影でもあるような女優とか（苦笑）

そうそう、フランコ君がクマを被っていたのは、あのシーンだったんですね（笑）
笑える！！

[SOAR]

オリーブリーさん、こんばんは♪
25年後の姿、たしかにあの仏頂面は違和感ありましたね。あの女優さんでもいいんですが、ふっと優しい顔になる一瞬がほしかったです。

あのフランコの映像が、本作を観る気になったもうひとつの理由でもあります（笑）
あのオープニング作品での彼にこそ主演男優賞あげたかった！（ウソ）

[おくやぷ]

こんばんは

こちらの地方では最近公開でした

X-MEN、トゥルー・グリットとハシゴでみまして
なかなか当たりの一日でございました＾＾

馬、がんばったなあ…

[SOAR]

おくやぷさん、こんにちは♪
西部劇と言えば馬。ラストの疾走は心を揺さぶられましたね。