『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』・・・面白いけどちょっと違う

宿敵バルボッサとの間で因縁を残した形になっていた生命の泉を示す地図。前作ラストでジャックが真ん中をくりぬいたこの地図が、本作では冒頭から登場。というわけで、出だしからすんなりとパイカリの世界に入り込めたのだが・・・。

うーん、とりあえず面白かった。やっぱりジョニデのキャプテン・スパロウはそれだけで楽しい。

・・・でも、ちょっと違うんだなあ。
前3作が持つダークなおどろおどろしさとか、めまぐるしく入れ替わる船長、クルー、船のややこしい関係とか、そういう部分がずいぶんスッキリしてしまったのが残念。良く言えば明快でわかりやすいアクション・アドベンチャーということになるのだが、それは本シリーズの目指すところではないと思うのだ。
全体にこういうダークな雰囲気があるからこそとぼけたジャックのキャラが生きるわけで、優等生アドベンチャーに仕立ててしまっては意味がない。クライマックスの洞窟内の戦闘など、あれじゃあよくあるトレジャーハンター物と同じノリでしょ~。聖杯だの涙だのってもう。さらに致命的なのは、このシーンでジャックが完全に浮いてしまっていること!

海戦シーンがないのもがっかり。
素通りするスペイン艦隊って、これはもう作り手の手抜きじゃないのか? バルボッサと黒ひげの因縁話もセリフで終わりじゃあねぇ・・・。だいたいブラックパール号の出てこないパイカリなんて・・・(ちっちゃいのが出てくるけど)
クルーたちもなんだかみんなこざっぱりしていて味気ない。バルボッサのイギリス艦やスペイン艦隊のクルーはともかく、黒ひげの船にはもっと個性的な乗組員がほしかった。アンジェリカが飲み屋で集めたフツーな連中もいいけど、ゾンビ化したという面々もせっかく乗り合わせてるのだから。

ああ、いつも目玉追っかけてるデコボココンビはよかったなあ(しみじみ)

バルボッサといえば、“ジェフリー・ラッシュが英国王に仕えてる”ってのは狙いなのか偶然なのか・・・。いずれにしろなんとなく笑い損ねた感じで正直ビミョーであった。まあ彼の演じるバルボッサ自体は大好きなキャラなんだけどね。
ただし、とうとうあの猿と会わず仕舞いなのはいただけない。猿は猿でビンの中でやんちゃ振りを発揮していたが、やはりバルボッサとのコンビを見せてほしかった。こういうところが本作の詰めの甘さなのだ。

人魚と宣教師の悲恋エピも取って付けたようで、最後にあわててなんとかこじつけただけ。

ああ、オーランド・ブルームとキーラ・ナイトレイはよかったなあ(しみじみ)

・・・とまあ、シリーズの大ファンとしてどうしても許せない、しっくり来ない部分をあれこれと書きなぐってしまったが、それでもやっぱり面白い。くやしいけど面白い。人魚の群れに襲われるシーンなど、けっこうゾクゾクした。
でも、ブラッカイマーにしては物足りない気がするのもまた事実。監督が代わっても、変えちゃいけない部分がシリーズ物にはあるんじゃないかな。ジョニー・デップに頼り切りでは芸がない。
幸い新キャストのペネロペ・クルスは今回こそお披露目程度だったものの、エンドロール後のアレからすると続編ではより重要なキャラとなるのは必至。アレ見せといて続編ナシとは言わせない。
ブラックパール号もその状態はともかくジャックとギブスくんの手に戻ったことだし、本作がちょっと残念だった分、これはもう次回に思いっきり期待させてもらおう。


★5/25追記
公開初日より25日(水)までに販売された本作のパンフレットに誤りがあり(松崎悠希さんの写真が別人)、発行元の松竹(株)事業部が修正版と交換対応するとのこと。気になる方は劇場または松竹に問い合わせを。


この記事へのコメント

2011年05月22日 06:36
私も“とりあえず”面白かったです♪
ただ、前3作と比べると・・・う~ん・・・となっちゃいますね(汗)

陸地メインで海上シーンが少なかったのは残念でした。
もっと海戦を入れて欲しかったです。

一応、ラストが“あれ”なので、続編を製作する気はあるんでしょうね。
続報を期待したいです。
SOAR
2011年05月22日 18:42
BROOKさん、こんにちは♪
十分おもしろい映画なのは確かなんですけどね。でもシリーズ独特のテイストが消えちゃった分ちょっと「あれれ?」って感じでした。
船同士が激しくぶつかり合ったりとか、怪物に襲われて一瞬に沈んだりとか、そういう前作までの迫力もなかったですねぇ。

でもあのラストは面白くなりそうな予感がします。楽しみに待つとしましょう。
2011年05月22日 18:53
こんばんは。

ロンドンのアクションは、いつもより音楽に乗ってミュージカル調だったので、監督の良さが出てるなぁ~と思いましたけど、海上バトルなんて予算もかかるし、活劇分野でない監督では、はしょるしかなかったんじゃないんでしょうかねぇ~なんて…(苦笑)

ジャックにパールも戻り、バルボッサ節も聞け、「トルトゥーガー!!」の名前も出てきたから、次回は海賊らしい作品になるだろうと期待してます(笑)
2011年05月22日 19:46
>優等生アドベンチャー

これ、めっちゃ分かり易い表現ですね。
まさにその通りだと思います。
このシリーズを優等生扱いしてしまっては面白くないのを監督も理解しないと!
SOAR
2011年05月22日 22:34
オリーブリーさん、こんばんは♪
たしかにロブ・マーシャルならではのノリもありましたね。マンネリ打破という意味では悪くないと思います。ただ、前作までに築き上げてきた独特の作風は活かしてほしかったです。ジャックが絡まなくてもいいから、せめてバルボッサとスペイン船の間でのドンパチがあってもよかったなと。
とりあえず新章お披露目という見方が妥当でしょう。次回で一気に盛り上がることを期待ですね。
SOAR
2011年05月22日 22:34
にゃむばななさん、こんばんは♪
「イギリスとスペインと黒ひげの三者が繰り広げる生命の泉争奪戦。場所を知るのは我らがジャック・スパロウただ一人。ただし聖杯と人魚も揃えないと意味ないよ~ん!」

・・・って感じの優等生アドベンチャーになってしまいましたね。学者や教授や冒険家はいなかったけど(笑)
こういう映画は他に秀作シリーズがあるわけで、本作はそれに乗ってほしくなかったですよ。
2011年05月29日 14:14
こんにちはー☆

ストーリーも少年向けといっていい内容でしたので、
アクションも無いペネ(まあ、妊娠という誤算があったので)も存在意義が感じられなかったし、
言いたいことはSOARさんに全部書いていただいた感じです。
ジョニー作品の中では久しぶりに家族みんなで嵌ったシリーズなだけに「面白さ」が影を潜めたアドベンチャーものに残念さが隠せませんでした(^^;

単にアクションを見せるだけなら今は「葉問」とか凄いキレイで迫力あるものはいっぱいあるので、
やはりジャックのコミカルな演技が活きる内容で観たかったのでした
SOAR
2011年05月29日 21:15
kiraさん、こんばんは♪
ペネロペちゃんはもしかしたらもっと活躍する予定だったのでしょうかね。いずれにしろこのシリーズは独特の“ヘンな感じ”もウリのひとつだったはずで、それをキレイにまとめてしまってはねぇ。
デップは相変わらずのいい演技をしてましたが、ジャックの面白さは周りのキャラが出す雰囲気があってこそ際立ちます。監督はそこをちょっと見誤ってたのかもしれませんね~。
あむ
2011年06月19日 23:27
私は面白かったと思います。
2、3はわかり難く話が混雑しており何がしたかったかが分かりにく、ちょっと違うとコメントしておりますが、そもそも1にダークなところもあまりなかったし、あなたが勝手に目指す所なんてきめれるほど偉いのでしょうか
SOAR
2011年06月20日 19:46
あむさん、こんばんは
なるほど、おっしゃるとおり1と2・3ではテイストは違いますよね。となれば本作を原点回帰と捉える方もいて当然かと思います。
より明快な冒険活劇をよしとするファンもいれば、怪しげな船員や暗い夜の海などの描写を楽しみにするファンもいるでしょう。デイヴィ・ジョーンズ系のキャラがいなくて残念という声も耳にしますし、ジャックのコミカルな立ち振る舞いがあれば何もいらないというコアなファンだって多いはず。何を期待するかは人それぞれかと。

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