『リアル・スティール』・・・繰り出せ三連コンボ!
往年の名作『ロッキー』の興奮と感動を思い起こさずにはいられない情感あふれる人間ドラマと劇的なクライマックス。
それぞれに生きる気力を少しずつ見失っていたチャーリーとマックスが、廃工場で見つけたロボットATOMとの出会いを通して活気を取り戻し、同時に互いの絆を深めていくという王道ストーリー。これがまた実に気持ちいい。
廃棄されていた型遅れの小さなスパーリング用ロボットがあれよあれよと勝ち進んでいく様に出来過ぎ感は否めないが、それでもやっぱりこういうストレートな作品、私は大好きだ。たっぷりと感動させてもらった。
ATOMが元々備えている能力に模倣機能がある。ロボットボクサーの練習相手として作られたATOMならではの機能で、一度認識した相手の動きを正確に“真似る”のである。本作で心に残るシーンには必ずこの機能が何かしらかかわっていて、製作サイドのこのアイデアこそが本作のポイントと言っても過言ではなかろう。
例えば、散歩と称し夜の街に駆け出すマックスとATOM。ふと立ち止まったマックスが両手を差し出して、自分を抱き上げるよう向き合うATOMを操作する場面のなんと幻想的で美しいこと。ATOMの顔の高さまで自分を持ち上げさせたマックスがATOMにそっと話しかけるシーンはその言葉の意味深な内容のせいもあってとても印象に残った。
“動物園”での試合に辛くも勝利したATOMだったが、リモコン操作による反応速度に限界を感じたマックスは、ジムで残骸状態となっていたロボット、ノイジー・ボーイの音声認識システムをATOMに移植する。これにより音声指示によるリアルタイムなコントロールが可能になったATOMは、模倣機能を使って元ボクサーのチャーリーからダブルアッパーや三連コンボなどプロの技も次々と習得し確実に強くなっていく。
試合の合間のこうした日常風景の描写から見えてくるのはマックスの可愛らしさと利発さ。おじさんの私が言うと危ないニュアンスが混じってしまう恐れもあるが(笑)、この少年とにかく可愛いのだ。意固地で小生意気な反面、プロリーグWRBの王者ロボット、ゼウスと、そのデザイナーである業界のカリスマ、タク・マシドを見る時の彼の目はキラキラと輝いていて、無垢な純真さが初々しい。
彼とATOMが見せるダンスシーンも可愛いし、こうなるともう彼の着るTシャツにカタカナで書かれた“ロボット”の文字さえ可愛く見えてくる始末(笑)
演じたダコタ・ゴヨ、私にはお初の子役である。今後のさらなる活躍に期待したい。
アンダーグラウンドでの活躍が話題となり、ラジオでも取り上げられ始めたATOMに待望の大きなオファーが来る。WRBの公式戦だ。初戦を突破した彼らはついに王者として君臨するゼウスに挑む。
こうして始まるクライマックスの対ゼウス戦はもう圧巻。王者ゼウスの容赦ない攻撃になす術もないATOMは音声認識システムをやられて万事休す。ここでマックスは使えなくなった音声認識を解除し、模倣機能へモードチェンジ。チャーリーにすべてを託し・・・・。
いや~、この展開には参った。
ATOMの試合でありリングに立つのは当然ATOMながら、闘っているのはリングサイドで空間にパンチを繰り出しているチャーリーでもあるのだ。夢破れたかつてのボクサーがその身にまとわりつくあらゆるしがらみを振り払おうと、また生きる希望に変えようと懸命に闘い続ける。
愛する息子のために。愛する恋人のために。
残念ながら判定負けに終わったものの、場内の観衆はATOMを、そしてマックスとチャーリーを大歓声で称える。みんなのチャンピオンはゼウスではなく君たちだと。
そして清々しい笑顔でインタビューを終えたマックスが「父さん!」と駆け寄るラストシーン。それまで“チャーリー”と呼ばれていた父親が肩車でそれに応えるその瞬間、ゆらゆらと危な気だった父と子の絆は完全に結ばれるのだ。
寄り添うATOMが模倣機能でチャーリーの動作を真似る様子がまたいい。バンザイのようでありガッツポーズのようでもあり、ここでも作り手の巧さが際立つ。
いつまでも止まない歓声。リピートされるATOMコール。
まるで私自身も観客としてその中に混ざっているような、サイコーに心地よい一体感を味わった。
前向きな親子の強くて優しくてたくましい再生の物語。これはこの冬一番のオススメとなるかもしれない。TVCMが気になってる方なら観て損なし。
それぞれに生きる気力を少しずつ見失っていたチャーリーとマックスが、廃工場で見つけたロボットATOMとの出会いを通して活気を取り戻し、同時に互いの絆を深めていくという王道ストーリー。これがまた実に気持ちいい。
廃棄されていた型遅れの小さなスパーリング用ロボットがあれよあれよと勝ち進んでいく様に出来過ぎ感は否めないが、それでもやっぱりこういうストレートな作品、私は大好きだ。たっぷりと感動させてもらった。
ATOMが元々備えている能力に模倣機能がある。ロボットボクサーの練習相手として作られたATOMならではの機能で、一度認識した相手の動きを正確に“真似る”のである。本作で心に残るシーンには必ずこの機能が何かしらかかわっていて、製作サイドのこのアイデアこそが本作のポイントと言っても過言ではなかろう。
例えば、散歩と称し夜の街に駆け出すマックスとATOM。ふと立ち止まったマックスが両手を差し出して、自分を抱き上げるよう向き合うATOMを操作する場面のなんと幻想的で美しいこと。ATOMの顔の高さまで自分を持ち上げさせたマックスがATOMにそっと話しかけるシーンはその言葉の意味深な内容のせいもあってとても印象に残った。
“動物園”での試合に辛くも勝利したATOMだったが、リモコン操作による反応速度に限界を感じたマックスは、ジムで残骸状態となっていたロボット、ノイジー・ボーイの音声認識システムをATOMに移植する。これにより音声指示によるリアルタイムなコントロールが可能になったATOMは、模倣機能を使って元ボクサーのチャーリーからダブルアッパーや三連コンボなどプロの技も次々と習得し確実に強くなっていく。
試合の合間のこうした日常風景の描写から見えてくるのはマックスの可愛らしさと利発さ。おじさんの私が言うと危ないニュアンスが混じってしまう恐れもあるが(笑)、この少年とにかく可愛いのだ。意固地で小生意気な反面、プロリーグWRBの王者ロボット、ゼウスと、そのデザイナーである業界のカリスマ、タク・マシドを見る時の彼の目はキラキラと輝いていて、無垢な純真さが初々しい。
彼とATOMが見せるダンスシーンも可愛いし、こうなるともう彼の着るTシャツにカタカナで書かれた“ロボット”の文字さえ可愛く見えてくる始末(笑)
演じたダコタ・ゴヨ、私にはお初の子役である。今後のさらなる活躍に期待したい。
アンダーグラウンドでの活躍が話題となり、ラジオでも取り上げられ始めたATOMに待望の大きなオファーが来る。WRBの公式戦だ。初戦を突破した彼らはついに王者として君臨するゼウスに挑む。
こうして始まるクライマックスの対ゼウス戦はもう圧巻。王者ゼウスの容赦ない攻撃になす術もないATOMは音声認識システムをやられて万事休す。ここでマックスは使えなくなった音声認識を解除し、模倣機能へモードチェンジ。チャーリーにすべてを託し・・・・。
いや~、この展開には参った。
ATOMの試合でありリングに立つのは当然ATOMながら、闘っているのはリングサイドで空間にパンチを繰り出しているチャーリーでもあるのだ。夢破れたかつてのボクサーがその身にまとわりつくあらゆるしがらみを振り払おうと、また生きる希望に変えようと懸命に闘い続ける。
愛する息子のために。愛する恋人のために。
残念ながら判定負けに終わったものの、場内の観衆はATOMを、そしてマックスとチャーリーを大歓声で称える。みんなのチャンピオンはゼウスではなく君たちだと。
そして清々しい笑顔でインタビューを終えたマックスが「父さん!」と駆け寄るラストシーン。それまで“チャーリー”と呼ばれていた父親が肩車でそれに応えるその瞬間、ゆらゆらと危な気だった父と子の絆は完全に結ばれるのだ。
寄り添うATOMが模倣機能でチャーリーの動作を真似る様子がまたいい。バンザイのようでありガッツポーズのようでもあり、ここでも作り手の巧さが際立つ。
いつまでも止まない歓声。リピートされるATOMコール。
まるで私自身も観客としてその中に混ざっているような、サイコーに心地よい一体感を味わった。
前向きな親子の強くて優しくてたくましい再生の物語。これはこの冬一番のオススメとなるかもしれない。TVCMが気になってる方なら観て損なし。
この記事へのコメント
それでも最後は元々の機能が役立つという展開も憎い演出でしたね。
チャーリーが元ボクサーという設定が絶妙に活かされていました。
判定負けに終わったものの、“みんなのチャンピオン”として認められたのも素晴らしかった。
親子の絆が完全に取り戻せた瞬間でしたね。
見事に監督の思い通りになったような気がしますよ。
エイドリア~ン!
こういうのが観たかった(特に年末に…)
期待して観て期待どおりでした
チャーリーがツブしてしまったロボットたちの“イイトコ取り”でヴァージョンアップしていく展開はいいですよね。チャーリーの過去がちゃんと受け継がれていく感じでした。
そしてやはり音声システムが壊れてからが素晴らしいです。チャーリーの闘いっぷりに胸が熱くなりました。
あー、それわかります。試合の勝ち負けを超えた感動はまさにあの名作のようでした。
監督さん、あらゆる客層の心をがっちり掴んだのではないでしょうかね。
そう!
こういうのが観たかったんだよ~って言える映画って、まさしくこういう映画なんですよね。
良くも悪くも期待どおり。それがいいんです♪
王道の良さって、これを観ると痛感しますね。
やっぱり、映画って、面白いわっ♪
マックス君は、小生意気で怖いもの知らずなんだけど、反面、賢いしあのピュアでストレートな感情がね、、、もう、スドンと胸にきます(笑)
ラスト、父親とATOMのリンクを見て流す一筋の涙の美しさ…。
わたしは、二度目の観賞の方が、より泣けました!
SOARさんの吹き替えのニュアンの違いが気になります(笑)
新しいものが全てじゃない!のメッセージにも思えました。
例えば、電機製品。最近は長くて4~5年持てばいい、その頃には既に機能が古いですよとの案内に、我が家には20年近く動いてくれているビデオデッキのある事を思うんです。
技術者さん達の力を借りながら、何度も修理して同じ年月を歩いてきたビデオデッキ。今の技術屋さんは、部品が無いの一言で見てもくれません。
なので、マックス君が旧式のロボットを連れて帰って、最初は大人の助けをかりるも、あとは自分で改造して、しっかり使えるようにしていく様子、心に響きました。
最先端の事も知ってるけれど、新しいものをすぐ求めるんじゃなく、古いものに工夫を加えて使い続ける、いい男の子だなぁ…マックス君と。
戦って、闘って、負けちゃったけど、真のチャンピオンとして称えられるATOM、観衆達の温かさも、父と息子とロボットのステキな繋がりに、涙腺ゆるゆるでした…。
ほんっと、いい映画です~☆。
結局こういうストレートな王道作品を素直な気持ちで観たときに得られる感動こそが、真の感動なんでしょうね。
マックス君のATOMに対するピュアな思いが大人たちをも変えていきます。それはチャーリーやベイリーだけでなく、対戦相手側にもきっと何かしらの影響を与えたんじゃないかなあ。
笑いながら気付くと涙が出ちゃってるような、そんな温かな感動を堪能させてもらいましたね。
そうそう。
字幕版で「秘密だよ」だったか、ATOMとチャーリーに一回ずつ言いますよねマックス。
それが吹替えだとたしか「どうってことないよ」とか言ってたかと。(すいません、早くも記憶が曖昧に・・・。年ですな)
そうですねぇ。費用を惜しまず最新技術で作られたゼウスの学習能力も、結局はATOMの模倣能力に叶わなかったわけですからね。
もちろん工業界において新しい技術の研究開発は怠ってはいけませんが、そのことと古いものを排除していくこととはまた別問題なんですよね。
チャーリーがスクラップにしてしまったロボットたちから優れた機能をATOMに移植していくくだりは、いろいろなことを教えてくれてるようでもあります。父の思いを受け継ぎ、壊れたロボたちの無念も受け継ぎ、そして古き良き物と新しい物の融合。
そうしたマックスの想いが伺えるからこそ、ラストの闘いに私たちは涙せずにはいられないのだと思います。