『Disney's クリスマス・キャロル』・・・スクルージにも神の祝福を!

あまりにも有名なディケンズのクリスマス・キャロル。私が最初に読んだのは英語の授業で教材に使われた副読本だった。もちろん原文ではなく中高生向きに優しく書き直された物だったと思うが、私にとって辞書を引きながら英文を読むことの楽しさを教えてくれた思い出深い物語である。

さて、本作はディケンズの原作に忠実で構成もほぼそのままなのが好印象。やはりこうした古典文学は原案に位置付けての大胆なアレンジを施すのでない限り、半端な脚色などせずストレートでシンプルなアレンジに留めたほうが正解だ。
ストーリーが原作をたどることに徹した分、斬新な映像表現に力が込められていた。今やゼメキス監督お得意のパフォーマンス・キャプチャーによるCG映像がすばらしい。彼の過去のキャプチャーCG作品は正直あまり好きではないので、もし今回の題材がクリキャロでなく主演もジム・キャリーでなかったらスルーは必至、この技術進歩を危うく見逃していたところだ。
元来個性的な演技が魅力のジム・キャリーとゲイリー・オールドマン。そのせいもあって彼らの身体の動きや顔の表情を取り込んだCGが実に不思議な雰囲気をかもし出す。時に恐ろしく、時にユーモアたっぷりに。

キャプチャー以外のCGもいい。過去の精霊と空を飛び、現在の精霊と下界を見下ろし、未来の精霊から逃げ惑う各シーンはそれだけで見応えたっぷりだった。少なくともこれらのシーンは3Dで見たかったかも。
(みなさん悩んだであろう「字幕2Dか吹替え3Dか」という究極の選択は、“ジム・キャリーのセリフは生で聞いてこそ”という信条によりあっさり決したので)

一方で、作風は思った以上にホラー色が強い。マーレイの幽霊のシーンなど臆病な私は何度も心臓がでんぐり返ったよ。顎と舌のあれって・・・ありゃあもう映画的に別ジャンルだっての。もちろんそれほどにオールドマンの怪演ぶりがすさまじいってことなんだけどねぇ。
もともとクリスマス・キャロルとは、守銭奴にして偏屈ジジイのスクルージが身の毛もよだつ恐怖体験の中で、寂しいながらも希望のあった若かりし頃の自分を思い出し、失いかけていた優しさや明るさを取り戻す物語なので、当然ファンタジーとホラー両方を併せ持つ作品なんだけどね。
それにしても・・・あー怖かった(←実はかなり怖がりなヤツ)

要は嫌われ者が心を入れ替えるという宗教色の効いた贖罪のストーリーでもある本作。そのあたりから来る説教臭さは160年も経つとさすがに時代遅れかもしれない。しかし精霊という不思議で恐ろしい存在や彼らと時空を超えるSF描写などはやはり魅力的で、こうした部分もあるからこそ不朽の名作として語り継がれるのだろう。これからもあの手この手で様々な映像化が繰り返されるに違いない。

精霊が去った後、生まれ変わったスクルージ。窓の外に広がるロンドンの雪景色は昨日と同じようでどことなくより明るさに満ちている。
精霊との“旅”を終えた彼が見せる陽気さ加減に少々唐突な感がなくもないが、腕を振って小躍りするその様は紛れもなくジム・キャリーその人だったのでちょっとウケた。背格好はCGによる別人なのに、あのコミカルな動きはどう見てもジム!
いやはやパフォーマンス・キャプチャーはおもしろい。

締めくくりはティムのこの言葉を借りて・・・。

「God bless Us, Every One!」

 ☆『Disney's クリスマス・キャロル』公式サイト

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