『サロゲート』・・・いっそ短編にしたほうがおもしろそうな近未来SF

本国での公開で大コケというニュースを昨年のうちに耳にしていた本作。あらすじを読む限りサスペンス仕立ての近未来SFとしておもしろそうな内容なのになぜ?という思いで劇場へ。

人間がサロゲートと呼ばれる人間そっくりの代理ロボットを使って日常生活を送るようになった近未来。オペレーターの本人は家で装置に座ったまま、意思によって自分のサロゲートを遠隔操作している。(要はアバターだ)
そのサロゲートが何者かによって破壊され、安全なはずのオペレーターまで同時に死亡するという事件が発生する。

“あるシステムが異常をきたしそれが原因で事件が起こり始め、肝心の開発者は諸々のしがらみによって失踪中・・・”というパターンの作品として見事なまでの王道展開なので、FBI捜査官グリアー(ブルース・ウィリス)がたどり着く真犯人もバレバレではある。それでもそれなりに面白いのはサロゲートというシステムの概念のおかげかもしれない。人々が使う個々のサロゲートは基本的には自分の姿かたちに似ていて、その上でちょっとした希望を盛り込むというプチ整形的なデザインとなっているのが慣習らしい。例えば主人公グリアー(クドイですが演じるのはブルース・ウィリスですよ~)のサロゲートは、ちょっと若返った顔に頭髪フサフサという感じ。しかしこれに法的な根拠はないようで、早い話人種も年齢も性別も自由に選べてしまう。他人のサロゲートの貸し借りも行われる。
で、この前提を伏線として捉えておけるので、終盤に事件の黒幕ともいえる真犯人のもとへやってきたグリアーがそこで目にする複数のサロゲート一体一体に驚かされる仕掛けだ。(・・・まあある程度は読めてしまうが)

ラストでグリアーが直面する究極のイエス・ノーは観ていて力が入った。彼の選択が正しかったかどうかの疑問はあるものの、それを含めて作品に込められた科学技術の発展に対する警鐘も感じ取れた。サロゲート依存の妻と交わす生身と生身の抱擁もジーンと来るし、一見ロボットやコンピュータの反乱モノのようで一味違う本作は、アイデアとしては悪くないと思う。
ただ悲しいかなそれが新鮮味にはなかなかつながらず、ありきたりというかつかみどころがないというかそんな印象にも落ち着いてしまうのだ。むしろぎゅっと絞るところを絞ってオムニバス形式の中の一編にするなど、30分くらいにまとめたほうがオチもより効いてくるような気がした。

あちらのコミックが原作とのことだが、昔読んだ星新一のショートショートに似たようなネタがごろごろしてそうでもある(笑)

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