『インセプション』・・・驚愕の脳内アトラクション!

複雑な概念の下、潜在意識の中で進行する壮大なアクション。仮想現実物をさらにひとひねりしたような画期的なアイデアに脱帽である。集中力さえ途切れなければその見応え度合いは相当なレベルだ。いやいや、これはおもしろい!スゴイもの観ちゃったな!!

うーむ、で、何から書いたらいいのやら(笑)

世界観自体はたいして難しい話ではない。この作品で描かれる世界では、他人の夢に侵入しそこからアイデアを盗んだり(抜き取り)、逆にアイデアを植え付けたり(インセプション)する能力を持つ言わば産業スパイが存在している。夢の共有が可能なため、チーム数名で同じ夢の中での行動ができ、さらには“夢のまた夢そのまた夢”的な階層概念もあり、一緒に侵入したチームのメンバーが違う階層で活動する高度な作戦も取れる。
階層は独立しているわけではなく相互に干渉し合っているが、深くなるほど時間の進み方が速くなるため、ある階層での数分が一段下の階層では数時間、その下では数年・・・といった現象が起こる。(つまり下層の時間を基準にすると上層は見掛け上スローモーションになる・・・「009」の加速装置と同じ理屈)
夢の中から脱出するには“死ぬ”か、夢の外から何かしらの衝撃(キック)を与えてもらうかの二つ。

とまあ文章にするとややこしいが、観ていると自然にこれらを理解できるような展開となっているのでありがたかった。第一層でのミニバンの横転や転落といった動きが鑑賞上のガイドになっていることに気付くとわかりやすい。

こうした世界観設定だけでもなんだかワクワクさせられるのに、その中で繰り広げられるアクションや人間ドラマがまたおもしろくて飽きさせない。設定だけが先走って中味のないチープなSF物とは格が違うのだ。主人公コブ(レオナルド・ディカプリオ)の過去や妻との関係がストーリーにおいて重要なポイントになっているし、コブに仕事の依頼をすることになるサイトー(渡辺謙)との駆け引きなど序盤からそれだけで釘付けである。
男たちの派手なアクションの前に存在感が薄れてしまいそうな女子学生アリアドネ(エレン・ペイジ)にしても、ターゲットを混乱させる夢世界を作り出すのは他ならぬ彼女なわけだし、終盤のストーリーをリードしていくのもまた彼女のコブに対する好奇心だ。

映像もまたすごい。予告編でいいところを全部見せてしまうような、見せ場がその程度しかないような作品ではないのだ。街が垂直に折りたたまってくるあの映像で本作に興味を持ったという方も多いと思うが、あれは序の口に過ぎない。あのシーンについて言うならむしろ折りたたまった後の映像のほうに度肝を抜かれること請け合いで、夢という非現実世界を現実的に見せるトリッキーな映像が本作には満載である。劇中でアーサー(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)がアリアドネに階層概念を教える際に“だまし絵”を例にするが、まさにそんな感じ。ネタバレになるので詳細は伏せるが第二層に残ったアーサーの戦闘シーンは圧巻である。

『シャッターアイランド』で私の持つそれまでの印象が変わったレオだが、本作によりその株はさらに急上昇。最近の彼、いいね。渡辺謙の存在感もすごい。誰でもいいから日系人をちょこっと・・・的なキャスティングではなく、これはもう彼のためにあるような役どころに思えた。ハリウッドで活躍できる俳優の一人として今後も注目したい。
個人的にツボだったのがアーサー役のジョゼフ・ゴードン=レヴィット。『(500)日のサマー』の時の印象など微塵も感じられないほどに無骨でクール。その沈着冷静なタフガイぶりに惹かれっぱなしだった。

そもそも夢という非現実世界もそれを見ている本人には少なくとも見ている間は現実なわけであり、ターゲットに対してだけでなく我々観客に対してもそうした心理を巧みに突いてくる本作。
冒頭で“集中力さえ途切れなければ”と書いたように、集中が途切れてしまうとそこで置いてきぼりは必至。2時間半に及ぶ長丁場を乗り切った先には格別の満足感が得られるので、これからご覧になる方にはぜひ集中してこの壮大な脳内アトラクションに挑んでほしいと思う。
観る価値ありのこの夏オススメの1本!


2011/2/28 追記

第83回アカデミー賞において、視覚効果賞、音響編集賞、音響賞、撮影賞の4部門受賞!

Congratulations!


☆他の受賞作品記事はこちらから

 『英国王のスピーチ』・・・かくして優しき善良王は誕生した '11/02/28
 『ソーシャル・ネットワーク』・・・きっかけは“右か左か” '11/01/15
 『トイ・ストーリー3』・・・やっぱり君たちは最高だよっ! '10/07/10
 『アリス・イン・ワンダーランド』・・・ティム・バートン×ディズニー '10/04/17


"『インセプション』・・・驚愕の脳内アトラクション!" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント