『SPACE BATTLESHIP ヤマト』・・・波動砲発射シークエンス

第一艦橋や機関室の各クルーたちがコールしながら進んでいく波動砲の発射シークエンス。原作アニメ放映当時小学生だった私はとにかくヤマトが大好きで、特に波動砲の発射シーンには毎回胸を躍らせたものだ。古代や徳川が発する発射までの一連のセリフを真似てのヤマトごっこ、その意味も充てる漢字もよくわからないのに(笑)みんな夢中だったなあ。

そんな波動砲発射シーンがあの山崎貴のVFXで見事に実写再現された。エネルギーをじわじわと高め、安全装置を順に解除し、圧力が限界値に達したところで戦闘班長古代に、トリガーに掛けた彼の人差し指にその全てが託される。

「非常弁全閉鎖」 「波動砲への回路開け」 「全エネルギー波動砲へ」 「最終セーフティ解除」 「ターゲットスコープオープン 電影クロスゲージ明度20」 「エネルギー充填120%」 「薬室内圧力限界へ」 「発射10秒前 対ショック・対閃光防御」 「5・4・3・2・1 発射」

順序が違ってたり抜けてるセリフもあるかもしれないが、だいたいこんなところか。序盤から堪能できる波動砲発射シーンに、震えが来るほど興奮させてもらった。
ちなみに私は「電影クロスゲージ明度20」が子供の頃から痺れるくらいのお気に入りで、今回キムタクがこれをしっかり言ってくれたのでそれだけで感激してしまった。

ストーリーは原作アニメの1作目と2作目をうまくミックスした内容で、違和感なくまとめられていたと思う。冒頭のカプセル落下を火星から地球に置き換えたり、発進直後の惑星間ミサイル迎撃に主砲ではなく波動砲を使ったりといったさりげないアレンジが見事にツボを押さえている。原作ファンなら誰もが好きであろうドメル戦も監督は忘れていない。第三艦橋の悲劇エピに絡めてうまく取り入れていた。

とにかく原作アニメでの世界観や雰囲気を一切壊すことなく実写化されたことは我々世代としてはうれしい限りだ。もちろんそっくりそのまま実写で再現したわけではない。大胆な新解釈も実に新鮮だ。敵のガミラスの正体(?)もびっくりだし、アナライザーの設定など2段階で驚かされた。なるほど、そう来たか。

また戦闘機の運用方法がこの手のSF作品としてユニークかつ画期的なことも評価したい。出撃した艦載機コスモゼロやブラックタイガーは単独での空中戦や対艦攻撃ももちろん敢行するが、彼らには目標をロックオンするという任務もあるのだ。この“ターゲティング”が実施されるとデータリンクによりすかさずヤマトが後方から一斉射撃するという戦術。これがまたヤケにカッコよかった。
一番の見せ場は古代のコスモゼロが敵のレーダー網をかいくぐるためにエンジン停止の自由落下でイスカンダルの地表にダイブするシーン。同乗のアナライザーが地面ギリギリまでターゲティングを行い複数の対空火器をロック、ヤマトへ転送。直後のエンジン再始動によりコスモゼロがたちまち敵にロックされるのだが、そこへ今度はヤマトが全砲門を開いて真上から高速で垂直降下してくるのだ(艦首を下に向けてだよ下に!)。古代機を狙った対空火器はヤマトの攻撃で瞬殺。しかしこれではヤマトが地面に激突・・・と思いきや、島が絶妙のタイミングでヤマトをワープさせる。

いや~もう、このくだりだけで向こう一年分くらいの鳥肌が立ちました私。ここ、必見!

原作と微妙に異なる第一艦橋のクルー編成も、案外ちゃんと理にかなっている。特に相原の新しい設定は、ヒロイン森雪をパイロットという設定に持っていくための布石とみていいだろう。
原作では通信専門の相原は、本作では索敵や航法も担当する。つまり原作での太田や森のポジションも兼ねるわけだ。そのため太田の存在意義がなくなり(太田さんゴメン)、森も第一艦橋詰めの必要がなくなる。(相原を女性とすることで第一艦橋の“花”はしっかり残すあたりがウマイ!)
また森については医療担当でもあったわけだが、佐渡先生を女性とすることでこちらもクリア。こうしてヒロイン森雪の職種がフリーとなり、その結果監督の思惑通り彼女がエースパイロットの座に着いたということだろうね。

原作ファンにとって忘れられない名シーン名セリフの数々が再現されていることも涙物のうれしさである。
沖田の「何もかも皆懐かしい」、徳川の「出力低下なれど航行に支障なし」、真田と斉藤の「あわてず急いで正確に」等々。真田と斉藤と言えば原作アニメ2作目『さらば~』での、彗星帝国内部におけるあのシーンが本作でも場を変えて登場する。柳葉演じる真田技師長はイメージそのままなのでこのシーンも印象に残った。
もうひとつ、これまた原作ファンなら忘れちゃいけないのがブラックタイガー山本の最期。実写で彼のあの敬礼を見ることになるなんてなあ・・・。ただしせっかく再現されたこのシーン、もうちょっと盛り上げてほしかった気もする。

戦闘機のデザインや機動がやや不自然だった気もしなくはないが、これは作品の持つ迫力とは別な話。山崎監督のVFXは随所において迫力満点で、SFエンターテインメントとして存分に楽しめた。少なくとも視覚効果に関してなら近年の邦画では右に出る作品はないと言ってもいいのではないか。いやはや圧巻。
そんな迫真の映像を引き立てる佐藤直紀の音楽もまたすばらしい。宮川泰のあのメロディも基本の2曲が様々なアレンジで登場。昨年の『復活篇』でもそうだったように、やっぱりヤマトにはこの旋律が欠かせない。

イスカンダルへの往復というアニメ1作目のストーリーをモチーフにしつつ、ラストでは『さらば~』を彷彿とさせる劇的なクライマックスへと突き進む。
胸を打つエンドロールは涙を誘いながらも、その映像のごとく緑の大地を心地よい風が吹き抜けるような爽やかな余韻をしっかり残してくれる。

国内最高レベルのVFXで蘇った“宇宙戦艦ヤマト”をぜひ劇場で!


☆『ヤマト』関連過去記事
  『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』・・・宮川音楽の継承はうれしいが 09/12/13
  宮川泰と宇宙戦艦ヤマト 06/03/22
  羽田健太郎とヤマトと「大いなる愛」 07/06/10

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