『ザ・タウン』・・・きょうは晴れた日だから

クライムアクションとしての見応え、そしてこの手のジャンルらしからぬ温かな余韻を残すラスト。どちらも私の好みにピタリとはまった。
銀行や現金輸送車を襲った犯人たちが繰り広げるド派手な銃撃戦やらカーチェイスをこれでもかと見せておいて、最後は観客の想像に委ねる部分も残しつつ“ちょっとイイ話”的に締めくくる。時にはこんなクライム作品もいいものだ。

ボストンから隔絶されたかのような街チャールズタウン。銀行や現金輸送車強盗が日常茶飯事のこの街で確実に“仕事”をこなしているダグ(ベン・アフレック)とジェム(ジェレミー・レナー)、そして仲間たち。ところがある日の銀行強盗で支店長クレア(レベッカ・ホール)を人質に取るという計画にない事態が発生する。そしてこのことでダグの人生が大きく変わり始める・・・。

犯行現場から自分たちの痕跡を消す。こうした証拠隠滅行為というと、指紋を拭き取る、何か(家とか車とか遺体とか)を燃やしてしまう、凶器を持ち去る・・・などが定番だろう。良く見るありふれたシーンである。ところが本作でのそれは実に興味深かった。当局のDNA捜査に対抗する工作を彼らは行うのだ。ある現場では去り際に漂白剤を撒き、またある現場では集めてあった他人の髪の毛を撒く。実際FBIは早い段階で彼らにたどり着くのだが、物証から決め手を得ることに手間取った。犯罪を描く作品、その内容も犯行手口など時代に合わせ確実に進化しているようだ・・・いや、現実世界における犯罪も当然そうなのだろうけど。

ジェレミー・レナーの役どころは、一見まともなようで確実に心を病んでいる男。『ハート・ロッカー』で演じたジェームズと共通するのは偶然か。


コスモスエキナセアの咲く花畑でクレアが語った“晴れた日”にまつわる思い出、ダグの若き日のエピソード、氷の張らないスケートリンク。

・・・・・・・・・そして札束とオレンジ。

こうした伏線が終盤になってきっちり収まっていく様子が私はとにかく気に入った。
FBI捜査官たちに囲まれながらダグからの電話を受けるクレア。ダグをおびき寄せようと目論むFBIの思惑どおりに進むかにみえた会話の中、“きょうは晴れた日だから”の一言がクレアの口から発せられる。捜査官たちは聞き流すが二人にとっては符丁であり、ここでダグも、そして私たち観客もクレアの本心を確信するのである。
このシーンよかったなあ。

寂れたスケートリンクに再び氷が張り、そこに子供たちの元気な歓声が戻った時、クレアの元に残るのはオレンジひとつ。それを手に彼女が何を想い、そしてどんな行動を起こそうとするのか。

そんなことを想像すると私の心はやっぱりぽっと温かくなってしまうのだ。クドいようだがこんな余韻のクライム作品も時には本当にいいものである。

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