『ペントハウス』・・・年金運用にご用心!

最近まであまり興味もなかったのだが、やたら流れるようになったTVCMに感化され観ることに。

うーん、なんともビミョーなおもしろさ。ハズレとまでは言わないものの、ベン・スティラーやエディ・マーフィならではの陽気な楽しさとか、あの手この手で財産を取り返す爽快感とか、そういうのをとことん味わえると踏んでいたのでその点ではイマイチだったなあ。

年金を含め財産を成金のショウに奪われたことで従業員の一人が自殺未遂を起こし、これがきっかけでベン演じるマンション管理人ジョシュはついに怒り爆発。既に保釈となり悠々と最上階ペントハウスの自宅で暮らすショウのもとに乗り込むと、飾られているフェラーリをゴルフクラブで叩き壊す・・・と、このシーン、観る人によっては爽快なのだろうが、車を叩き壊すというのは見ていてあまり気持ちいいものではないよねぇ。少なくとも私はイヤな感じがした。フェラーリに罪はないのだから。
まあこのフェラーリがその後重要アイテムとなりオチにもつながるので、そのための伏線と思ってガマンガマン(笑)

泥棒物にしろスパイ物にしろ盗む側がチームで行動する作品の場合、メンバー個々の特技が小気味よく連なりながら目的が達成されていく過程は楽しむ要素として最も重要だと思う。ところが本作はここが決定的に弱い。
金庫破りのスキルを持つ女性従業員以外はハッキリ言ってただの人。
もう一人、序盤でこそこそとある試験勉強をしている従業員がいて、最後の最後で彼女の存在が効いてくる仕掛けには「おお~!」と思わされたが、これは盗む過程でのメンバーたちの技が次々登場した流れの最後に“とどめの一発”的に出てきてこそ活きるわけで、このあたり一工夫欲しかった。

それでもエディ・マーフィ演じるコソ泥(?)が、メンバーに“盗みの試験”を行うシーンはけっこう面白かった。盗む物も盗み方も個性があったし、「自分もやってみせろ」といわれたエディ・マーフィの「オレはもう盗んだぜ」のオチもいい。こういう洒落っ気が以降ほとんどなくなってしまったのがけっきょくイタイ。意外な形でそれぞれに財産が戻るエンディングでのみんなの笑顔だけが救いのような・・・。
(あ、あと、久々にスクリーンで見たティア・レオーニもよかったな。ベテランのFBI捜査官、よく似合ってた。この人いい歳の取り方してるわ)

そんなわけで作品自体は少々期待はずれに終わったのだが、本作で描かれる年金運用に伴うリスクについては人事ではないような気がして、むしろこっちのほうが印象に残った。“投資に失敗は付き物だ”というショウの言い分は腹立たしいがごもっともな話でもある。私的流用は立派な詐欺だとしても、運用を人に任せた時点でリスクも覚悟すべきなのかもしれない。
やれ確定拠出だ、やれ代行返上だと、私の会社でもここ数年何かと勉強させられることの多い年金・退職金制度。厚生年金と厚生年金基金の意味も違いもろくに知らないまま、長いこと給与天引きされるがままに払い続けていることの不甲斐なさったら・・・。
しかもそんな私が会社の確定拠出年金導入によって投資信託(の真似事)までしてるわけで、そもそもこの国が抱える(一向に解決策の見出せない)年金問題も含めると、私の老後はいったいどうなることやら・・・(泣)

ところで。マンション従業員の年金が最上階に住む金持ちによって運用されているというのはなんとも荒唐無稽な気がするのだが、企業が第三者に年金運用を全面委託することってアメリカではよくあるのか・・・ってか日本でも普通にあるのかな。うー勉強不足・・・(恥)

金持ちの詐欺にあったまじめな庶民たちが、泣き寝入りに甘んじることなく奪われた財産を取り返すという言わば正義のための泥棒物語。『オーシャンズ11』シリーズと比べるのは酷かもしれないが、それでもベン・スティラー×エディ・マーフィだ。笑いあり涙ありのもっともっと楽しい泥棒物語にしてほしかった。残念なり。


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