『名探偵コナン 11人目のストライカー』・・・推理パートの希薄さが致命的

さて今年のコナン。
まずサブタイトルが興味深い。これまでの「●●の■■(△△)」パターンではなくなったのだ。昨年の『沈黙の15分(クォーター)』のセンスの良さが記憶に新しいが、今年は通例と異なり“の”以下はカッコなしの片仮名ストレート。まあ考えてみたけどストライカーの漢字表現って難しいので(得点選手とか蹴球選手とか点取り職人とか?)、素直にこのタイトルとなったのかもしれない。

・・・などと思いを巡らせつつ鑑賞したのだが、うーん、昨年に引き続き残念な印象が残ってしまった。ドラえもんやポケモンと違い観客のターゲットを絞りにくい作品であるのはわかる。それにしても設定があまりに稚拙すぎないだろうか。

ゲスト声優のタレントやスポーツ選手で話題を作り、話のほうは爆弾が仕掛けられて、コナン君が暗号解いて、怪しい人物が数人出てきて、捜査面でまったく存在感のない刑事が出てきて、蘭ちゃんに危険が迫って、探偵団がちょこっと活躍して、お涙頂戴エピとまさかの真犯人・・・。

これってパターン化してないか。
子供を喜ばせ、中高生には見応えたっぷりに、そして大人たちもそれなりに十分楽しめるというそんな作品がこれまでの劇場版コナンにはたくさんあったんだけどなあ。盛大な爆破シーンも劇場版の定番だが、本作の犯人像と爆弾がどうにもつながらない。犯人が爆弾を使うという設定に本作ほど違和感を感じた作品は過去にない。やはり黒組織を絡めるか、あるいは壮大なテロ事件などを背景に置かない限り爆弾ネタはリアリティを阻害する最右翼であるようだ。

レギュラー刑事たちやコナン君が推理を重ね、容疑者を徐々に絞っていく過程もコナンシリーズの楽しみなのだが、本作ではそういう部分も前作同様ものすごく希薄であまりに乏しい。いや、警察もコナンも推理らしい推理なんてほとんどしてないぞ。
これ言っちゃおしまいだけど、テレビの30分作品(前後編モノ含む)のほうが圧巻の推理謎解きシーンがよっぽど多い気がする。

劇場版コナンはこういう作品なんだと割り切ってしまえば、緊迫感もあるしコナンの活躍ぶりはやっぱりカッコいいしで十分楽しめる作品だと思う。スケボーやサスペンダーといったアイテムを駆使してのアクションには目を見張るものがあるし、大きなスクリーンならではのアクションシーンの醍醐味もある。そもそもけっして作品作りが雑なわけではないのだ。

ただ、推理物としての内容が年々薄れてきた以上それを期待し続けてきた私には、このシリーズそろそろ潮時となりつつあるのかもしれない。


あ、隣席の親子連れ。お母さんも娘さんも残念ながら映画館に来る資格ありません。もっと小さいお子さんたちが、お父さんお母さんと一緒にマナーよく鑑賞してるのに情けない。あなたたちにはご自宅での鑑賞を強くオススメします。


※劇場版『名探偵コナン』過去記事
『沈黙の15分(クォーター)』・・・どうしたコナン 2011/04/17
『天空の難破船(ロスト・シップ)』・・・コナンとキッドと新一と 2010/04/18
『漆黒の追跡者(チェイサー)』・・・あの戦闘ヘリって!? 2009/04/19
『戦慄の楽譜(フルスコア)』・・・“絶対音感”の解釈 2008/04/25


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