『ソウル・サーファー』・・・腕を失った価値

練習中サメに襲われ片腕を失った少女サーファーの、勇気と希望の物語。現在プロサーファーとして活躍中の、ベサニー・ハミルトンの自伝に基づくトゥルー・ストーリーに序盤から引き込まれた。

単に過酷な闘病生活や心の葛藤を乗り越えていく姿を追うような作品ではないことが好印象。サメに襲われたベサニーが病院へ運ばれるまでのシーンこそさすがに目をそらしたくなるほどに痛々しいのだが、そこから始まる彼女の復活劇は実にポジティブで清々しいほどである。サーフィンを何よりも愛する少女の情熱を、家族や友人がしっかりと支えていく。
悲劇のヒロインの試練の物語でもなければ、汗と涙の熱血スポ根物語でもない。まして悲壮感や重苦しさといった空気は皆無で、けっして卑屈にならず明るく前向きな女の子が、片腕のハンデキャップを笑顔で克服していく姿がとにかくさわやかなのだ。

大会での振るわぬ成績、さらには周囲からの好奇や同情の目に耐え切れなくなり、一度はサーフィンをやめる決意をするベサニーだったが、スマトラ沖地震で津波による被害を受けたプーケットでのボランティア活動に参加したことが契機となり、また世界中の子供たちから届く手紙にも励まされて再びサーフィンへの情熱を取り戻す。

そして迎えた大会。ライバルの先行を許したベサニーに逆転のチャンスとなり得るビッグウェーブが迫る。残り時間はあとわずか。タイムアップが先か、彼女のテイクオフが先か。
大きな波のチューブをくぐり抜けてくる彼女の姿に胸が熱くなった。


「誰かが希望を見いだす手助けができるなら、私が腕を失った価値はあったと思う」

ベサニー本人の言葉である。確かに彼女はプーケットの子供たちを始め、障害を持つ世界中の子供たちに希望を与えた。しかしそれを“腕を失った価値があった”とする発想はどこから来るのだろう。実に素晴らしい。
彼女の究極のプラス思考は、まさにソウル。あまり話題になっていないのが非常に惜しい作品である。


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