『クレイジーズ』・・・水道水から始まる恐怖
蛇口をひねればいくらでも出てくる水。屋外から供されるこのライフラインが、どこを起点とし、どこで浄化され、そしてどういう経路で自分の家まで導かれているのかを把握している人がいったいどれくらいいるだろうか。
水が辿るその長い道筋のどこかで“何か”が混入される可能性はいくらでもあるのに、何の不安も抱かず一切の疑問も持たず、当たり前のように私たちは日々水を口にする。考えてみるとこれは恐ろしいことなのかもしれない。
感染パニック映画として目新しさも斬新さも特に感じられないものの、あえて言うなら感染源が水道水というアイデアはおもしろい気がする。ただし見せ方は正直イマイチである。最初の感染者に遭遇した保安官が翌日沼地に墜落した軍用機を発見し、水道が怪しいと気付くわけだが、この顛末が実にあっけないというか・・・。
感染経路が特定できぬままにパニックに陥る市民の描写でもっと引っ張ってもいいだろうに、あるいは感染を引き起こしてしまった軍部の焦りから極秘作戦の発動に至るまでの流れをもっと見せてくれてもいいだろうに、そういうところが妙にあっさりしていてサクサク進んでしまうのだ。まあよく言えばシンプルな構成と言えるのかも知れないけど、やっぱりこれでは見応えまでもあっさり(笑)
何よりイタいのは、感染者たちに“狂気”が感じられないこと。家に火をつけるご主人、電動サンダーの監察医、ピッチフォークの校長先生などいずれも無表情さがそれなりに怖いのだが、プラスアルファ的なクレイジーさ、ようするにイっちゃってる感がないとね。だってそういうタイトルなんだから。
本作はあのジョージ・A・ロメロ監督作品のリメイクとのこと。昨今の感染パニックに付き物のSF色やアクション要素がなくシンプルなのはロメロのオリジナルがそうだったからなのかもしれないが、それをそのままリメイクするだけじゃ芸がないよなあ。まあこのあたりは観る側の好みにもよるけれど。
私に言わせれば主人公たちのクルマがヘリに攻撃されるシーンが実にもったいない。あの対戦車ヘリ、AH-1コブラって意外とスクリーンに登場してないんだよね。一応実物を飛ばしているように見えたけど、せめて最後の一撃くらいは何を撃ったのかCGで追加してくれればよかったのに。機関砲の曳光弾なり、ロケット弾や対地ミサイルの航跡なりが見えた後のドカン!がほしかった。残念。
巨大企業の研究所、政府や軍部、病院などのありがちな施設が主たる舞台ではなく、その上主人公グループには科学者も軍人もCIAも専門医もいない。こういう要素がないとこの手の映画はやはり締まらないようだ。オリジナル版ではそれをカバーするだけのロメロらしい社会風刺が効いているそうだが、本作にはそれもなし。たまたま近くのシネコンで短期間の上映があったので足を運んだけど、う~ん・・・特に観るまでもなかったか。
ちなみに私、ロメロ監督作品で唯一録画保存しているのが“あのゲーム”のテレビCMである。わずか数十秒のCM監督にわざわざロメロを引っ張ってくるだけでもすごいのに、主演がブラッド・レンフロ!
TSUTAYAでメイキングビデオのレンタルまでやってたし、当時のカプコン恐るべし・・・。
水が辿るその長い道筋のどこかで“何か”が混入される可能性はいくらでもあるのに、何の不安も抱かず一切の疑問も持たず、当たり前のように私たちは日々水を口にする。考えてみるとこれは恐ろしいことなのかもしれない。
感染パニック映画として目新しさも斬新さも特に感じられないものの、あえて言うなら感染源が水道水というアイデアはおもしろい気がする。ただし見せ方は正直イマイチである。最初の感染者に遭遇した保安官が翌日沼地に墜落した軍用機を発見し、水道が怪しいと気付くわけだが、この顛末が実にあっけないというか・・・。
感染経路が特定できぬままにパニックに陥る市民の描写でもっと引っ張ってもいいだろうに、あるいは感染を引き起こしてしまった軍部の焦りから極秘作戦の発動に至るまでの流れをもっと見せてくれてもいいだろうに、そういうところが妙にあっさりしていてサクサク進んでしまうのだ。まあよく言えばシンプルな構成と言えるのかも知れないけど、やっぱりこれでは見応えまでもあっさり(笑)
何よりイタいのは、感染者たちに“狂気”が感じられないこと。家に火をつけるご主人、電動サンダーの監察医、ピッチフォークの校長先生などいずれも無表情さがそれなりに怖いのだが、プラスアルファ的なクレイジーさ、ようするにイっちゃってる感がないとね。だってそういうタイトルなんだから。
本作はあのジョージ・A・ロメロ監督作品のリメイクとのこと。昨今の感染パニックに付き物のSF色やアクション要素がなくシンプルなのはロメロのオリジナルがそうだったからなのかもしれないが、それをそのままリメイクするだけじゃ芸がないよなあ。まあこのあたりは観る側の好みにもよるけれど。
私に言わせれば主人公たちのクルマがヘリに攻撃されるシーンが実にもったいない。あの対戦車ヘリ、AH-1コブラって意外とスクリーンに登場してないんだよね。一応実物を飛ばしているように見えたけど、せめて最後の一撃くらいは何を撃ったのかCGで追加してくれればよかったのに。機関砲の曳光弾なり、ロケット弾や対地ミサイルの航跡なりが見えた後のドカン!がほしかった。残念。
巨大企業の研究所、政府や軍部、病院などのありがちな施設が主たる舞台ではなく、その上主人公グループには科学者も軍人もCIAも専門医もいない。こういう要素がないとこの手の映画はやはり締まらないようだ。オリジナル版ではそれをカバーするだけのロメロらしい社会風刺が効いているそうだが、本作にはそれもなし。たまたま近くのシネコンで短期間の上映があったので足を運んだけど、う~ん・・・特に観るまでもなかったか。
ちなみに私、ロメロ監督作品で唯一録画保存しているのが“あのゲーム”のテレビCMである。わずか数十秒のCM監督にわざわざロメロを引っ張ってくるだけでもすごいのに、主演がブラッド・レンフロ!
TSUTAYAでメイキングビデオのレンタルまでやってたし、当時のカプコン恐るべし・・・。
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